2009年01月05日 05:41

元々六代目菊五郎のために宇野信夫を書いた戯曲を勝新太郎がプロデュースして映画化にこぎつけた。当時まだまだ無名に近かった勝新が宇野の家に行き菊五郎の物まねをして宇野に大層気に入られて映画化の許可を得たというから凄いではないか!監督は森一生!1960年の白黒作品ではあるが、現在の日本映画においてこの水準に達している作品があるだろうか?悪の権化のような主人公が怪物となっていく過程や、目明きになっている夢を見たり、両親はおろか女性からも愛情を注がれない薄幸な男の哀しみを描いており秀逸である。徹底した悪玉なのだが、魅力を感じるのは勝新の演技力の賜物であろう!この共演を機に結婚した中村玉緒がそれはそれは初々しく可愛らしい。貧しい長屋に産まれた七之助は盲目だったが、知恵遅れの少年に手引きさせて祭りの酒を頂いてきたり、若旦那風の男を騙して一両せしめたりと空恐ろしい子供であった。それも善良だが甲斐性のない父親と貧乏を嘆いてばかりいる母親の愚痴を聞いて育ったからであろうか?成長した七之助は初代不知火検校(荒木忍)の所に弟子入りして杉の市(勝新太郎)と名乗っていた。ある日、検校のお使いで川崎に行くことになったが、途中の鈴が森で癪をおこして苦しんでいる旅人に出会う。治療してやろうとするが、男が200両もの買い付け金を所持していると聞いて、男の延髄に針を打ち込み殺害。200両を頂くがその様子を見ていた生首の倉吉(須賀不二男)にゆすられる。杉の市は半分の100両を渡してやり、今度会いに行くからと倉吉のお守りをもらうのだった。倉吉が去った後、そのお守りを死体の手に握らせる杉の市だった。又あるときは材木屋の大店に按摩療治に呼ばれるが、店の主人と妾が材木の売上金を隠しているのに気づく。(相手は盲目の杉の市には警戒していないのだ)そこへ鳥羽屋丹治(阿部徹)ら3人組の強盗が入ってきて売上金を出せと脅して、白状しない店主と妾を殺害。その声に聞き覚えのあった杉の市は「そこにいるのは倉吉さんですね。」と話しかけて売上金のありかを教えて分け前にありつく。気絶していた材木商の娘を連れ帰って、夜半手篭めにする杉の市。娘は悲観して川に身投げする。だが杉の市は「バカな女だ!」と吐き捨てるように言うのだった。検校に借金の断りを言いにいくよう言われた杉の市。早速、旗本・岩井籐十郎(丹羽又三郎)の屋敷に向う。お内儀の浪江(中村玉緒)の弟が金を使い込み、夫に内緒で50両もの金がいったのである。浪江に杉の市は証文もいらない。無利子で自分が50両貸そうと持ちかける。

安心しきった浪江に揉み療治をするが、隙を見せた浪江を陵辱する杉の市。翌朝、夫が帰宅。帰り際に杉の市は浪江に「昨夜預けた50両をお返し願えますか?」と言うのだった。(相当にワル!)金を貸して欲しかったら自分の家に来いと浪江にいう。恥を忍んでやってきた浪江に5両の証文を書かせて10日間通って来いという杉の市。だが6日目に夫の知るところとなり、浪江は自害する。夫は杉の市の家にやってくるが、杉の市は危険を感じて逃亡して鳥羽屋に行く。そして丹治らに不知火検校の家を襲うよう言うのだった。そうして杉の市は念願の二代目不知火検校におさまる。5年経ち、豊国の美人画のモデルおはん(近藤美恵子)を金にモノを言わせて嫁にする不知火検校だったが、おはんには指物師の房吾郎(鶴見丈二)という間男がいた。それを知った検校、おはんに言って長持ちを作らせる。長持ちを屋敷に持参した房吾郎に毒を飲ませてついでにおはんも殺害。2人の死体を長持ちに入れさせる。その頃、倉吉が旗本の岩井につかまって不知火検校が杉の市であることを喋ってしまう。それを聞いていた岡っ引き。7年前の鈴が森の殺しの件で倉吉のお守りが死体に握らされていたことを聞いた倉吉は全部白状してしまう。今日は将軍家の姫君の療治に上がるという日。不知火検校こと杉の市は捕縛されてしまうのであった。彼は「馬鹿野郎!」と吐き捨てるようにつぶやく。


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