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夕凪の街 桜の国(80点)

夕凪の街 桜の国夕凪の街 桜の国
(2008/03/28)
田中麗奈、藤村志保 他

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昭和33年夏、平野皆実(麻生久美子は薄倖な女性がよく似合う。儚げな風情があって美しい)は「大空建設」の事務員として働いていた。昭和20年8月6日の広島原爆投下で父と姉、妹を失った皆実は家もなくし母(藤村志保はやはり貫禄十分の大女優である)と二人、相生通り(夕凪の街)のあばら家で暮らしていた。母は洋服の仕立てやお直しをしていた。弟旭がいたが水戸の叔母の所へ疎開にやっていたので被爆せずに済んだのだ。原爆投下から7年後に母と皆実は弟を引き取りにいったが、弟は帰るのを嫌がり叔母の石川家を名乗るようになったのだ。皆実も左腕とこめかみにケロイドの痕が残っているが、銭湯に行くとどの女の体にもケロイドの痕が残っており当時の広島の様子が生々しい。皆実は同僚の打越豊(吉沢悠)のことが好きだったが打越の好意を受け入れられずにいたのだ。自分のような者が幸せになっていいものかという気持ちが皆実の心を押しつぶしている。皆実が打越に語る被災の様子はとても生々しく、それがつい60年くらい前のことだということに愕然とする。その頃から皆実は風邪が思わしくなく、内臓の破片のようなどす黒い血を吐くようになるのだった。そして水戸から来た弟旭(伊崎充則)と打越の前で亡くなるのだった。(原爆は落ちたのではなく落とされたのだという主張がなされていて良かったと思うのだ。)
 時代は変わって現在。中年になった旭(堺正章)は娘石川七波(田中麗奈)と医者になっている弟凪生(金井勇太)と三人暮らしをしていたが、父の旭はよく行方不明になるのだった。その後を尾行する七波。そこを幼馴染の利根東子(中越典子)とバッタリ会うのだった。八重洲中央口から広島新幹線駅行きの夜行バスに乗る父の後をつけて乗り込む二人。そして東子に会ったことにより、小学生時代を思い出す七波。(野球部に入るくらいお転婆だった七波は弱かった弟が入院していた病院へ東子と二人でいって桜の花びらを撒き散らし、祖母フジミ(藤村志保)に叱られる。)広島に着いた父はある大きなお屋敷に入り、そこの老婦人が泣いているのを慰めているのだった。その後父は平野家の墓参りをする。その墓石を見て祖母フジミの死を思い出す七波だった。(その頃のフジミは七波を死んだ娘の友達と勘違いしたりしていたのだ。)父は姉皆実の死んだ場所にも来ていた。そこで老人になった打越と会っていたのだ。現在で語られることは、被爆二世や三世がそのことにより結婚をあきらめたり、幸福になる権利を放棄したりしていることを描くのだ。。被爆者が被爆者の嫁を嫌がるこの矛盾。ここに原爆の大きな功罪がある。皆実から向かいに住んでいた京花(旭が結婚した相手。七波と凪男の母だ。被爆していたので若くして死亡している)京花から娘七波へと受け継がれている白い髪留めが象徴的だ。監督は佐々部清、「チルソクの夏」や「半落ち」の社会派監督だ。

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