- 2008/07/05 エンジェル(65点)
![]() | エンジェル (2008/07/02) ロモーラ・ガライ 商品詳細を見る |
「8人の女たち」「スイミング・プール」のフランソワ・オゾン監督の本作は25億円もかけたコスチューム・プレイ映画である。相変わらず女性に対して辛辣なものだが、その眼差しは決して冷たくはない。
1900年英国ノーリーの下町で父親の遺してくれた食料品店を女手一つで切り盛りしている母と二人暮らしのエンジェル・デヴェレル(ロモーラ・ガライはスタイルもいいし美しい女優だ)は16歳。丘の上にある憧れの豪邸パラダイスを眺めていて今日も遅刻する。作文の宿題に大時代ロマンス小説を書き、教師に有名な小説を引用したと思われる。エンジェルには虚言癖があり自分の出自さえ嘘をつく。パラダイス屋敷で働くロッティ伯母さんが、お屋敷のお嬢様アンジェリカ(ジェマ・パウエル)の世話係の仕事をエンジェルに持ってくるがエンジェルは鼻にもかけない。下層階級出身で読書嫌い、それなのに上流階級のことを想像をめぐらせて書いた「レディ・イレニア」の原稿を出版社に送るのだった。発行人のセオ・ギルブライト(サム・ニール)から連絡が入り早速ロンドンへ行くことに。文章の中に所々おかしな箇所があり訂正するよう求めるセオの言い分にも耳を貸さないエンジェル。セオの妻ハーマイオニー(シャーロット・ランプリングは監督のお気に入りだ)のピアノ演奏にも退屈そうにして「あの首飾りは本物の真珠なの?」とセオに聞いたり無作法この上ない。自己中心的で自分勝手、どうしょうもなく嫌な女なのだが、エンジェルの徹底ぶりは物凄い!(どこかのタレントのように泣いて言い訳をしたりしないし、言行を翻したりしない。)だが本は売れエンジェルは売りに出ているパラダイスを買うのだった。「レディ・イレニア」は舞台化されて文学賞を受賞する。その祝賀パーティでノーリー卿の姪ノラ・ハウ・ネヴィンソン(ルーシー・ラッセル)がエンジェルの崇拝者だと言って挨拶する。エンジェルの目はノラの弟エスメに釘付けになるのだった。エスメ(マイケル・ファスベンダー)は売れない絵画を描いている孤高の画家だった。数日後ノラは秘書にしてくれと言いに来る。エスメに一目ぼれしたエンジェルは承諾するのだった。「弟は良くない人間なんです。」という忠告も耳に入らない。(明らかに女癖が悪くエンジェルを金づるくらいにしか思っていない)その頃、母が亡くなるがエンジェルは見事に復活し、新刊「ヴェネチアの想い」の出版記念パーティで真紅のドレスで登場し、エスメにプロポーズする。エンジェルはエスメの借金を肩代わりしてやるというのだった。ところが第一次世界大戦が勃発しエスメは志願入隊して出て行く。ショックの余りエンジェルは流産してしまうのだった。休暇にも一度も帰ってこなかったエスメは片足を亡くして帰ってくるのだった。エスメの借金は増える一方だったが、エンジェルはエスメを支え続ける。そしてエスメは自殺するのだが、エンジェルは驚愕の事実を知ってしまうのだった。エンジェルは非常に嫌な女なのであるが、周囲の人間も決していいとは言えない。もっと悪意のある人間もいるのだ。こういった逆転劇はオゾン監督の得意芸である。
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