2008年は若き才能が急逝したが、ブラッド・レンフロもその一人である。「依頼人」で彗星のごとく現れた天才子役だったレンフロ。天才子役と呼ばれた俳優たちの道のりは厳しい。アル中か麻薬中毒になってしまう人が多い。(キルスティン・ダンストも今年アル中の更正施設に入所している。彼女も天才子役だった。)1998年の本作は佳作ではあるが、かのイアン・マッケランという名優を相手に互角の演技力を見せており惜しい俳優が亡くなったと思わずにはいられない。スティーブン・キングの<恐怖の四季>シリーズの一つでもある「ゴールデンボーイ」をブライアン・シンガー監督(「ユージアル・サスペクツ」で類稀なる才能を見せた)が映画化した。音楽はジョン・オットマン。ロサンジェルス郊外に住むトッド・ボウデン(ブラッド・レンフロ)はスポーツ万能で成績優秀、申し分のない少年だったが、学校の授業でホロコーストのことを学び興味を覚える。帰路ナチス戦犯のクルト・ドゥサンダーによく似た老人に目をとめたトッドはこっそり老人の後をつける。帰宅後パソコンでイスラエル政府発行の手配写真と指紋を手に入れる。老人はアウシュビッツ副所長クルト・ドゥサンダーに間違いなかった。トッドはドゥサンダー(イアン・マッケラン)の家を訪問して彼が収容所で行った残虐行為を全て教えて欲しいと言うのだった。ドゥサンダー自身も又その経験を少年に話すことで活き活きとしだすのだった。だがトッドの成績は下落してしまい指導カウンセラーは両親とミーティングの時間を持ちたいという。トッドは両親には黙っていたが、ミーティングの日時にカウセンラー室に行くと何とドゥサンダーがトッドの祖父と偽って学校に来ていたのだった。祖父に扮したドゥサンダーはトッドの両親は離婚一歩手前で、そのことがトッドの成績に影響しているのだと言う。そして3週間後の学期末試験にオールAを取れなければ落第も覚悟であると約束するのだった。トッドは「無理だ!」とドゥサンダーに抗議するが、ドゥサンダーは「猛勉強しろ!」と命令する。当初、トッドが優位に立っていた力関係が徐々に移行しつつあった。殺意を抱くトッドにドゥサンダーは2人の関係を手紙に書いて銀行の貸し金庫に入れてあるので、自分が死ねばトッドにとって不利な状況になると脅迫するドゥサンダー。仕上げにドゥサンダーは浮浪者アーチー(エリアス・コーティアス)を自宅に招き入れていきなり刺す。アーチーは地下室に転落するがまだ生きていた。とどめを刺そうとするドゥサンダーは発作に襲われてしまい、身動きがとれない。ドゥサンダーはトッドに電話をして呼び出す。アーチーの始末をしろ!というのだ。トッドはアーチーをスコップで殴り埋めてしまう。それから救急車を呼ぶのだった。ドゥサンダーは命をとりとめるが、隣のベッドに寝ていたクレイマーがアウシュビッツの生き残りで、ドゥサンダーを確認する。イスラエル政府のワイスコップ(ヤン・トリスカ)がやってきてドゥサンダーを連行するのだった。主席で卒業したトッドだったが、カウンセラーのフレンチに本当の祖父は車椅子であることを知られてしまう。つめよるフレンチにトッドは「成績操作を条件に性的関係を強要されたと告発する。」(フレンチはゲイだったのだ)と脅迫する。その頃ドゥサンダーは獄中で自殺をしていた。だがドゥサンダーの顔は安らかであった。彼の邪悪な魂を継ぐトッド少年が彼の意思を体現するであろうから。もっとホロコーストの描写があればよかったのだが、そういった演出もなく話は進むのである。トッドがドゥサンダーにナチの制服を着せる場面やドゥサンダーが猫をオーブンで焼き殺そうとする場面が良かった。非常に頭脳明晰で物腰もエレガント、そんな紳士然としている人間が大量虐殺を行うという邪悪な人間性。トッドも同様の人間である。ラストでなんともいえない笑みを浮かべるレンフロが怖い。