
このところ中南米の映画を立て続けに見ているが本当に秀作が多くて驚く。莫大な資金を投入して作るハリウッド映画がバカに見えてくるのだ。低予算で無名俳優で製作されたにもかかわらずクオリティの高い映画を見るととても得した気になるのだ。本作もそういった映画の一つである。この映画に出てくるファン・ビジュガスという主演男優は本当に20年間ガレージ勤務していた人を監督がスカウトしてきて映画に実名で出演させている。(私はこの人の表情の素晴らしさに、名優だと思ってしまっていたのでサプライズだった)そしてもう一人、ドッグ・トレーナー役のワルテル・ドナードもまた実名出演であり職業もトレーナーなのである。(本当に素人とは思えない演技)バカ高いギャラをとっているハリウッド・スターって何??と疑問に思うほどズブの素人のほうが演技がうまいってどういうことなのだろう。日本でも力をもった事務所にいるタレントが下手な芝居をしているが、こういうシステムはいつか日本映画をダメにするんじゃないかと危惧する人も多いだろう。
監督はカルロス・ソリン(ちょっと注目の監督である)音楽はニコラス・ソリン(ギターのみの音楽が良かった)ファン・ビジェガス(実名出演)は52歳。20年間勤めてきたガソリン・スタンドが閉鎖されてファンは仕事も家も失ってしまう。元来手先の器用なファンは手作りのナイフを作るのが趣味だったが、そのナイフを売り歩く毎日だった。そのナイフも高いと言われてなかなか売れない。娘夫婦の家に居候しているのだが、娘婿は働かず小さな子供を2人かかえて暮らしは楽ではない。そんなある日、ファンは車がエンストしてしまい困っている女性を見かけて、家まで牽引してやり部品も修理してやるのだった。その女性の母親にお茶と手作りケーキをお礼に振舞ってもらうのだが、亡き夫の残した犬をもらうのだった。その犬はドゴ・アルヘンティーノという種類の血統書つきの犬だった。自分が困窮しているのにファンは断ることも出来ずに連れ帰るのだが、娘に怒鳴られファンと犬は家を出ることに。スタンドに立ち寄ると一人の男が犬を見て羊毛倉庫の警備の職をくれるのだが、優しいファンは前任者が解雇され落胆しているのを見て後釜につくことが出来ない。小切手を換金しようと立ち寄った銀行では犬は入ってはいけないと拒否されるのだが、銀行幹部がドゴ犬愛好家でファンを銀行内へ入れて専属のドッグ・トレーナーを紹介してくれるのだった。ドッグ・トレーナーのワルテル(実名出演)は犬を一目みて「一週間、訓練してドッグショーに出そう!きっと入賞する!」と言うのだった。お金が無いことを正直に話すファンに賞金は山分けしようとワルテルは言うのだった。かくして犬のボンボンとファンはドッグショーに出場することになる。今までファンの人生は誰からも見向きもされないような人生だったのに、ボンボンがファンに夢と希望を与えてくれるのだった。ドゴは元々、闘犬や狩猟犬だが噛まれても鳴かない我慢強い犬である。なかなかに風格があり、今はやりのブサカワなのである。ボンボンと旅に出るファンも何だか誇らしげだ
