「キュア」「ドッペルゲンガー」「回路」「LOFT」などで有名なホラーの名手、黒沢清監督の映画である。個人的にはあまり好きな監督ではないのだが、葉月里緒奈と所々に挿入される叫び声が気になってつい観てしまった。嫌いなのに見るということは好きなのかも・・・と少しばかりへこんだ。
埋立地で赤い服の女が殺害される。男の顔は見えない。
刑事吉岡(役所広司)は現場を捜査していて自分自身の痕跡があるのを隠匿してしまう。どの現場にも自分のものと思われる遺留品があるのだった。それはコートのボタンだったりするわけだが、そのことが伏線とか思ってはいけない映画なのである。寂れた埋立地の水溜りのタールのように黒く澱んだ水が、吉岡の心象をあらわしているようにどす黒い得体の知れないものがこの映画のテーマである。吉岡はひどく不安にかられて精神科医の高木(オダギリ・ジョー)に診察してもらうが、何の解決にもならない。高木自体が赤い服の幽霊の話を吉岡から聞いてひどく動揺しているようなのだから。罪深いものだけが見る亡霊なのだろうか?赤い服の女の幽霊が葉月里緒奈で怖い!彼女の演技がなかったらこの映画は40点くらいのものだったかも知れない。おぞましいとか、はかないとか、悲しげとかそういう幽霊ではない。けれど叫びとともに現れる女は十分に怖い!!吉岡の様子に同僚の宮地(伊原剛志)もさすがに不信感を抱くのだった。吉岡にはつきあっている春江(小西真奈美)という女がいたが、一緒に暮らしているようでもありそうでないようでもある。旅行に行こうとしてもままならないのである。このもどかしさや空虚感は一体なんなのだろう?
作業船に乗せてもらい海側から捜索するも船の男は奇妙なことをいう。「裏側を覗いて見ないか?」
ある廃屋に入ると一枚の赤いドレスがかかっているのだった。あの女もまた誰かに殺されたのか?
そういえば吉岡の奥の部屋は何だか奇妙だ。赤い服の女は吉岡の部屋にも現れる。「あなただけ許します・・・。」という言葉を残して消える女。そして驚愕のラストへとなるのだが・・・。ハッと思わせる演出が2回ほどある。この映画はそこに尽きると思うのだが。だが、吉岡に自分は近い症状にあると思う人は心療内科へ行かれたほうがよかろう。うつ病テストのような映画であった。