所詮、アメリカ人がフランスの歴史を映画化するというのが土台無理な話だ。「さゆり」や「ラストサムライ」で日本人を描くのと同じこと。この映画をフランス人が見たらどう思うだろうか?第一にキルスティン・ダンストがマリー・アントワネットをやっているのがダメだろう。この女優は子役時代からよく映画に出演している(「ジュマンジ」のお姉ちゃん役や「インタビュー・ウィズ・バンパイア」の髪の毛わさわさ吸血鬼少女が印象的だった。)最近では「スパイダーマン」のヒロイン役で有名だが、実際のアントワネットは肖像画でも見るがオーストリア美人である。だからこそ美男のフェルゼンにも愛された。(フェルゼンの肖像画はそれほど美男でもないが、長身で美男だったそうだ)唯一似ているのがルイ16世だと思うが(背が低くて意志薄弱そう)実際そう馬鹿でもなかったようである。またベルサイユでアントワネットと対立するデュー・バリー夫人(ルイ15世の愛人)であるが、肖像画はもっとふっくらしたブロンド美人であり映画では下品と蔑まされているが、朗らかで愛嬌のある性格でベルサイユでも人気者だったという。(私生児ではあったが義父に可愛がられて正規の教育も受けており、修道院にも一時入っていた。侍女、お針子などを経て美人だったので高級娼婦になりデュー・バリー子爵の囲い者になった。そしてルイ15世の愛人となり順調だったがルイ15世が天然痘にかかり必死で看病したが、危篤状態となったとき修道院に入れられる。その後首相ド・モールパ伯爵の愛人になったり転々とするが、ロシアに亡命するもなぜかフランスに舞い戻ってきて捕まってしまう。(一説には宝石を取りに帰ったのだという)断頭台に引き出されるが首切り役人が顔見知りだったので泣いて懇願したという。(結局、首切り人は息子に代わって処刑が遂行された)他の貴婦人方が毅然として断頭台に立ったのに、この夫人だけがとても見苦しい最期だったので悪く書かれているのかもしれない。さてフェルゼンだが、映画のとおり二人は仮面舞踏会で知り合ったのは史実どおりだが実際は父君スウェーデン王の命令であったみたいだ。だがこの奔放で愛らしいアントワネットを本気で愛したらしくアントワネットがベルサイユから退去逃亡するときも、ずっと亡命までお守りしたいと申し出たがルイが許さなかった。フェルゼンはアントワネットと関係が出来てからは他の女性を近づけようとはせず結婚もしなかった。そしてアントワネットを国外へ亡命させようと奔走したが、あえなく民衆によって殺害されている。(ルイもアントワネットを愛していたし、アントワネットという女性は悲劇の王妃と言われてはいるが二人の男性に深く愛された女性としては幸せな人生だったのではないだろうか?)「パンがなければお菓子を食べれば?」という台詞は有名だが実際、アントワネットは言ってはいないし(映画でもそう描かれている)、フランス大飢饉のときには30億円という大金をアントワネットは出している。またギャンブルも子供が誕生してからは一切してはいない。フランス映画の「王妃マルゴ」なんかと比較すると大分見劣りする映画だが、マカロンのようなパステル調の衣装や靴、お菓子や髪型を見るのには十分楽しめる映画ではある。女性は好きなのではないだろうか?