ロシアの文豪ボリス・パステルナークの壮大な叙事詩とも言える大作を完全映画化!1958年パステルナークは「ドクトル・ジバゴ」によりノーベル文学賞を授与されることとなったのだが、ソ連政府は発禁書である「ドクトル・ジバゴ」を認めてはいず、授賞式に出席するなら国外追放だと作家に宣告する。亡命の道もあったのだが愛国心の強いパステルナークはノーベル賞受賞を断念したということでも話題となったが、イタリアで出版された小説を大物製作者のカルロ・ポンティが読み、いたく感銘し映画化となったのだ。(当初ポンティはララの役を自分の妻であるソフィア・ローレンを強く押したのだが監督のデビッド・リーンが受け付けなかったという経緯があり、結局ジュリー・クリスティに白羽の矢が立った。監督の選択は正しかったと思う)当時「アラビアのロレンス」や「戦場にかける橋」などの大作名作を世に出していたデビッド・リーン監督だけにキャストはほぼ完璧である。ロシア革命前、ユーリ・ジバゴ(オマー・シャリフ)は幼い頃に両親を亡くし、母の友人夫婦に養育された。モスクワで化学者をしていた義父アレキサンドル・グロメーコ(ラルフ・リチャードソン)と義母アンナ(シオバン・マッケナ)、そして娘のトーニャ(ジュラルディン・チャップリン)と4人で幸福に暮らしていた。医学を学び詩作も得意なジバゴと娘トーニャを結婚させることが両親の夢だった。一方、仕立て屋アメーリアの娘ラーラ(ジュリー・クリスティ)は17歳の自由奔放な人目を引く美人だったが革命家のパーシャ(トム・コートネイ)という恋人がいた。アメーリアのパトロンで弁護士のコマロフスキー(ロッド・スタイガーが際立つキャラで存在感が凄い)は高級レストランへラーラを連れてゆき無理やり唇を奪うのだった。肉体関係を強要されていたラーラはジバゴの婚約発表をしようとするクリスマス・パーティでコマロフスキーの腕を銃で撃つ。コマロフスキーの手当てをするジバゴ。その頃ドイツとの戦争が勃発し、いよいよ混迷の時代に突入する。革命が起こりロシア皇帝を監禁した後にレーニンがモスクワへやってくる。共産主義国家を目指すレーニンは財産の分配を指示する。ジバゴの所へも党幹部となっている異母弟のエフグラフ(アレックス・ギネス)がやってきてシバゴをスパイ容疑で逮捕しようとしているので逃亡するように言うのだった。ジバゴ一家はアレクサンドルの別荘へと逃れるが、別荘は革命委員会によって封鎖されており、仕方なくジバゴと妻トーニャ、娘のサーシャ、義父のアレキサンドルは近くの山小屋に住むことにする。慣れない畑仕事に手を焼くジバゴだったが、ロシア皇帝一家銃殺のニュースを耳にしてユリアティンの町へ出かける。その町で偶然ラーラと再会したジバゴは彼女のアパートで関係を持ってしまう。2人は最初に出会った時から惹かれあっていたのだ。帰途、パルチザンに捕まるが機会を狙って脱走する。だが家族は山小屋にはいずパリへ追放されたという。やっとの思いでラーラのアパートに着いたジバゴは意識を失う。ラーラも又かっての恋人だったパーシャがストレーリニコフ将軍となってラーラの行方を捜しており、隠れ住んでいたのだ。ベリキノの小屋でひっそりと暮らすラーラとジバゴだった。娘のカーチャも出来て2人目の子も妊娠していたラーラは厳しい生活の中でも幸福だったのだ。ところがロマノフスキーが法務大臣になって原野開発のためにウラジオストックへやってくる。再び引き裂かれる親子夫婦!激動のロシアの大地で運命に翻弄されるジバゴの哀しい生涯。バラライカが導く数奇な運命の糸。壮大な極寒の大地に愛の物語が美しい。大作とはこれだ!と言わんばかりの映画である。昨今は大作を撮れない監督ばかりなので、どうか本作をもう一度見て欲しいものである。