何度見てもうならせる!名作!子供の頃ユル・ブリンナー主演のリメイク映画「荒野の七人」を見て面白いと思ったものだがオリジナルは格段に優れている。時代考証といい設定といい(当時百姓が武装していないということはないのだが、それを差し引いてもよく描けている)戦い方といいとても理に適っている。野武士に毎年襲われて作物や女を略奪されている貧村の村人たちは長老の意見などを聞いた結果、武士を雇おうとして4人の百姓が街へ出る。そこに挟まれる島田勘兵衛(志村喬)が豪農の子供を人質にとり立てこもる盗賊を僧形にやつして殺すエピソード(上泉伊勢守信綱の話をそのまま挿入)や久蔵(宮口精二)が立ち合いをある武士に望まれて肩先を打ち込んだところ相手は相討ちだと言うのを「おぬしの負けだ」といいなおも真剣試合をしようとする相手を殺害してしまうエピソード(柳生十兵衛光厳の話)などを巧みに散りばめて現実味を帯びた流れを作っている。また腕の立つ武士をリクルートしようと勝四郎(木村功)に物陰に隠れて木の枝を打ち込ませているところなども塚原ト伝が3人の子供の内、誰を跡目につけようかと木枕をかませた入り口を通らせるエピソードに想を得たという。(すなわち取り除く長男、よける次男、真っ二つにする三男の内長男を跡目にする)脚本を担当した黒澤明と橋本忍、小国英雄らが「美僕日本史第十一巻武芸美談」や「本朝武芸小伝」などから面白いものを取り入れている。キャラクターもそれぞれが個性的で後期戦国武将らしい扮装をしている島田勘兵衛や島田とは合戦の古女房とも言われているかっての部下、七郎次(加東大介)は無私の精神で島田についてくる。商人の薪割りをしていたムードメーカーの村田平八(千秋実)、剣の達人でストイックな久蔵や若侍の勝四郎、侍になりたがっている百姓出身の菊千代(三船敏郎)は大刀などを持ち豪胆で憎めない男である。参謀役で軍学にも通じているらしい片山五郎兵衛(稲葉義男)は人徳のある人物だ。百姓もまた善人ばかりではなく利己主義で強欲な万造(藤原釜足)や女房を野武士に拉致されて内面に怒りを押し殺している利吉(土屋嘉男)、飄々とした与平(左ト全)など魅力的だ。
一番の面白さはやはり戦闘シーンである。誰が見ても地の利や誘い込み戦法、対種子島(鉄砲)戦法など見ていて飽きない。本作は1954年当時、破格の2億円を投じているが、3ヶ月の撮影予定だったのが1年かかっているのだ。ラストの泥の中での戦いは設定は初夏ということなのだが2月にロケをしており降雪を溶かしたためにぬかるみになったのだという。その上に墨汁を流し込んだので壮絶なシーンが撮れている。余談だが宮口精二は足に矢が当たり重傷を負ったそうだ。(家人が気づいたのだが福本伸行のマンガ「黒沢」はこの映画のオマージュなのであろう。知っている人もいるのではないだろうか。)島田勘兵衛が言った言葉「この飯おろそかには食わんぞ!」は当時流行語だったようだ。ラストでは「勝ったのは我々武士ではない!百姓どもだ!」と島田に言わせている。