珠玉の一本という言葉がピッタリの名作!実在の詩人パブロ・ネルーダをモデルに執筆されたチリの作家アントニオ・スカルメタの「バーニング・ペイシェンス」(燃える忍耐)を元に英国の監督マイケル・ラドフォードが映画化した。主役のマリオを演じているマッシモ・トロイージが原作に感銘し友人でもあるラドフォード監督に依頼して撮った本作はトロイージを含む5人の脚本家が完璧なシナリオを書き上げて挑んだ作品である。トロイージは心臓手術を延期して製作にあたりクランクアップの12時間後に亡くなったという。トロイージの遺作ともいうべき本作は彼の魂が乗り移ったかのような素晴らしい映画となった。ナポリの小さな島に住むマリオは漁師の父親と2人暮らし。ある日、郵便配達人の求人貼り紙を見て得た職業はチリから亡命してきた詩人パブロ・ネルーダのファンレターを届ける仕事だった。丘の上のコテージに妻マチルダ(アンナ・ボナイウェート)と住むパブロ・ネルーダ(フィリップ・ノワレは「ニュー・シネマ・パラダイス」の映写機おじさんである)に手紙を届ける仕事はマリオにとって、素晴らしい人生への始まりだったのである。ピュアな心の持ち主であるマリオを気に入るネルーダ。2人は隠喩について語りあう。(この2人の会話が実にいい。よく練れたものとなっており感心する。)マリオは酒場の娘ベアトリーチェ(マリア・グラッツイア・タチノッタ))に一目ぼれしてしまう。そしてベアトリーチェに詩を送るのだが、その詩はネルーダが妻マチルダに送ったものだった。「他人の詩を盗んじゃいかん!」という詩人に「詩は必要としている人のものだ。」と反論し詩人を唸らせるマリオ。恋の詩文に怒ったベアトリーチェの叔母ローザ(リンダ・モレッティ)が隠喩をいやらしい事のように言う場面も面白い。だがネルーダはマリオの結婚式に出席してくれたのだが、その席で祖国へ帰ることが出来るという手紙を受け取る。ネルーダは島を離れてしまう。寂しいマリオだったが、ネルーダが自分に与えてくれたものの大きさに気づくのだった。イタリア人はこういった名作を数年に一本製作してくる。