夏目小太郎の映画批評
夏目小太郎が独断と偏見で映画批評
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2008/04/21 Mon  01:12:57» E d i t
善き人のためのソナタ スタンダード・エディション善き人のためのソナタ スタンダード・エディション
(2007/08/03)
ウルリッヒ・ミューエ、セバスチャン・コッホ 他

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2007年アカデミー外国語映画賞受賞作品である。監督のフロリアン・ヘンケルス・フォン・ドナースマルク(西ドイツの貴族の家柄に生まれた彼の名前は正式にはもっと長い)は1973年オックスフォード大学卒業後1996年にミュンヘン映像映画大学に入学し、この作品は卒業修了作品として制作したが西ドイツ生まれなの4年間のリサーチが必要だったという。弱冠33歳で初の長編映画を撮ったのだが資金がなかったのでこの映画に出演している名だたる俳優はほとんど少ないギャラで出てくれたというのだ。(脚本の素晴らしさにみな心打たれたという)音楽は「イングリッシュ・ペイシェント」などの巨匠ガブリエル・ヤレド(作中の「善き人のためのソナタ」のピアノ曲も彼のオリジナルだ)。1984年DDR(旧東ドイツ国家)のシュタージ(国家保安省)で反体制分子の盗聴や自白に関与していたヴィースラー大尉(東ドイツ出身のウルリッヒ・ミューエはこの作品で主演男優賞を受賞したのちガンで亡くなっている。)は、ある劇場で劇作家のドライマン(セバシチャン・コッホ)とその恋人で女優のクリスタ(マルティナ・ゲディク)を監視・盗聴する任務にあたることになったのだが必ずや反体制の証拠をあげると意気込むヴィースラーだった。彼はどんな人間でも自白させることの出来る絶対的なテクニックをもっており、それをシュタージの部下に教授する立場でもあったのだ。早速、ドライマンの住む部屋に盗聴器をとりつけて屋根裏部屋で盗聴する毎日が始まる。そしてドライマンとクリスタが愛し合う息遣いを聞き、あるいは彼らの会話を克明に日誌に記してゆくのだ。その会話は熱情的であったり、あるいは芸術的であったりしてヴィースラーの氷のような心を少しずつ溶かしてゆくのだった。彼らが深く愛し合う声を聞き、ドライマンの部屋からこっそり持ってきたブレヒトの詩集の中の<マリー・Aの想い出>を読むヴィースラーの姿があった。そしてあまりに反体制的な戯曲を書いたために締め出しをくらっていたドライマンの友人で演出家のイェルスカが送った楽譜「善き人のためのソナタ」を弾くドライマンとそれを聞くクリスタ。屋根裏部屋でその音楽を聴くヴィースラーの眼から涙が流れ落ちる。職務に冷徹なまでに忠実だったヴィースラーは小さな花が巌に咲くように人間らしい感情に支配されてゆくのだった。その心の機微をウルリッヒ・ミューエは抑えた演技で表現してゆくのだ。一方クリスタはヘムプフ大臣に脅迫されて肉体関係を強要されていたのだった。クリスタは徐々に精神の均衡を崩しており麻薬中毒になっていたのだ。そんな時イェルスカが自殺する。怒りと悲しみにドライマンは東ドイツの真実を西側に告発する文章を掲載するよう画策するのだった。その企みに気づいた当局はクリスタを逮捕し、ドライマンを売るように脅迫するのだった。そして映画は悲劇的な局面を迎える。・・・・・東西が統一されドライマンは意外な事実を知ることとなる。ラストの10分間はヴィースラーの言葉に思わず涙するに違いない。

テーマ:この映画がすごい!! - ジャンル:映画

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