トマス・ハリスの「羊たちの沈黙」は傑作だが、「レッド・ドラゴン」はその前の話である。(映画は「羊たちの沈黙」「ハンニバル」の次に製作・公開された)監督は「天使のくれた時間」「ラッシュアワー」のブレッド・ラトナーである。ボルティモア交響楽団の演奏を聴いているレクター博士(アンソニー・ホプキンス)の姿が客席に見られるが、フルート奏者が音をはずし顔をしかめる。後日レクターは自宅で指揮者や友人らを晩餐会に招待する。話題はフルート奏者の失踪に及ぶが指揮者は「フルート奏者の演奏はひどかった。」と言う。女性客の一人が「このお肉はどの部分かしら?」とレクターに聞くが「それはお知りにならないほうがいいでしょう。」と微笑む。その夜、ウィル・グレアム警部(エドワード・ノートン)が世間をさわがせている連続殺人について精神科医のレクターの見識を聞きにくるのだが、殺人者が肝臓や胸腺などの部位を切り取り料理して食べていることに気づいたとグレアムが言う。レクターがグレアムのコートを取りに行っている間にグレアムは一冊の分厚い料理本を手に取る。そこには胸腺の部分にレクターの書き込みが書かれてあった。背後に忍び寄るレクター。グレアムは振り向きざまにレクターに肝臓付近を刺されるが、グレアムもまたレクターを矢束で貫き銃弾を打ち込む。二人は重傷だったが一命は取り留める。レクターはボルティモア州精神病院に収監され、グレアムは引退しフロリダ州マラソンに引っ込み妻のモリー(メアリー=ルイーズ・パーカー)と息子ジョシュと共に静かに暮らしていた。そこへかっての上司ジャック・クロフォード(ハーヴェイ・カイテル)がやってきて2件の一家惨殺事件の現場を見てくれないかと頼みにやってくる。グレアムはアトランタのジャコビ家の現場に殺人の行われた夜半に検証に行く。犬小屋、主寝室は鮮血が飛び散っている。犯人は夫の喉を掻き切り妻の腹を刺した。そして遺体をひきずり子供部屋へ。どの部屋の鏡も割られており、妻の眼球には鏡の破片がはめ込まれていた。妻の遺体にはタルカムパウダーが付着していた。グレアムは犯人がゴム手袋をはずしたことに気づき眼球の指紋採取を依頼する。(原作では犯人の指紋は眼球から検出されてはいない。書かれた当時は鑑識技術が発達しておらず眼球の指紋は採取できなかったからだ。)もう一件の殺害現場バーミンガムのリーズ家にも行ってみるが、ホームビデオがあるだけで手がかりは掴めないのだった。クロフォードはレクターに犯人の手がかりを聞けとグレアムに言う。レクターは犯人が家を見渡せる場所に潜み夜を待っていたこと、ウィリアム・ブレイクの詩の一節をグレアムに教える。後はDVDで楽しんでいただきたい。犯人のフランシス・ダラハイドにレイフ・ファインズ。盲目のリーバ・マクレーンにエミリー・ワトソン。タトラー紙記者フレディ・ラウンズにフィリップ・シーモア・ホフマンと芸達者をそろえた。傑作!!