細部のディティールにこだわる監督ジャン=ジャック・アノーの作品。8500万ドルを投じて製作された。1942年9月スターリングラードをめぐって一ヶ月間にわたりドイツとロシアが攻防を続けた戦いで活躍した伝説のスナイパー、ヴァシリ・サイツェフを描いた。25歳だったヴァシリは400人のドイツ軍将校らを射殺した。彼は幼い頃、ウラルの羊飼いの祖父から射撃を習ったという。毛皮に穴を開けないために一発目で目を狙って撃ち殺すという方法を学んだ。スターリングラードの英雄記念碑には彼の巨大なレリーフがあるという。モスクワの軍事博物館にはヴァシリの戦利品である望遠鏡が展示されており、歴史博物館では彼がその時、実際に使用したライフルが展示されている。スターリングラードは陥落寸前になっておりボルガ川は血の海と化した。ヴァシリ(ジュード・ロウ)のライフルは百発百中!ヴァシリに救われ彼の腕前を目撃した青年将校ダニロフ(ジョセフ・ファインズ)は寡黙な男ヴァシリが好きになり、党機関紙プラウダ(赤い星という意味)に彼の記事を掲載する。ダニロフの目論見どおり、ロシア軍の士気は上がりヴァシリは英雄扱いされるのだった。だがヴァシリはそんな状況でも奢ることなく冷静である。レジスタンスの女兵士ターニャ(レイチェル・ワイズ)の美しさに惹かれるダニロフとヴァシリ。積極的なダニロフには見向きもせずターニャは静かで控えめなヴァシリを気にかけるのだった。嫉妬したダニロフはターニャを指令本部に転属させてしまう。だがヴァシリに会いたいターニャは本部を抜け出してスターリングラードに戻るのだった。ヴァシリの噂を耳にするのはロシア軍だけではなかった。ドイツ軍もまたヴァシリを恐れていたのだが、ドイツ軍はドイツ一の射撃の名手とうたわれるケーニッヒ少佐(エド・ハリス)を呼ぶ。彼はヴァシリと仲良くなった少年サーニャ(ガブリエル・マーシャル・トムソン)をおびきだして、ヴァシリを殺そうとするのだった。緊迫感ある一撃必殺のシーンを作り上げたスタント・コーディネーターにジム・ダウドール。フルシチョフ司令官役にボブ・ホスキンス。監督お気に入りのロン・パールマンも出演している。ヴァシリはロシアの英雄と祭り上げられたが、彼はウラルに帰り羊飼いの生活を続けた。何事もなかったように・・・・。ヴァシリの生き方や姿勢には学ぶものがある。静かな感動をよびさます映画。