芦原妃名子の長編マンガ「砂時計」は700万部のベストセラーを樹立したが、TBS全国ネットの「愛の劇場」(小林涼子と佐藤めぐみが杏ちゃん役をやっていた)で放映したところが、昼ドラでは最高の視聴率を打ち立てて大ヒットとなった。それを佐藤信介監督が映画化した。冒頭杏ちゃんと母が訪れる巨大砂時計は島根県の仁摩サンドミュージアムにある世界一の砂時計。一年時計で砂が一トンも使われているそうだ。12月31日の大晦日に反転させるが今回のドラマ・映画のヒットで訪れる人も増えそうである。14歳の杏ちゃんを夏帆が演じて改めて彼女の演技力に驚いた。大人になってからの杏を松下奈緒が演じておりどうかと思うが、夏帆の場面が多くてホッとする。相手役の大悟に若手注目株の池松壮亮が演じており2人の場面が瑞々しく見ていられる作品。水瀬杏(夏帆)は父と離婚した母、植草美和子(戸田菜穂)と母の実家の鳥取県にやってくる。仁摩ミュージアムに寄った2人は巨大砂時計を見るのだが、母から小さな砂時計を買ってもらった杏は砂時計を反転させて「過去が未来になったよ。」と言う。実家に戻ると祖母の美佐代(藤村志保)は母に「あんたがしっかりせんと!」と母を叱咤激励するのだが、父の水瀬正弘(風間トオル)の借金に苦労して昼夜を惜しまず働き詰めだった母は抜け殻のようになっていた。杏が町を散策していると母の離婚は町の噂になっていた。同級生の北村大悟(池松壮亮)に半ば無理矢理に薪運びの手伝いをさせられる杏。バイト先の月島酒造の娘、椎香(岡本杏理)やその兄で同級生の藤(塚本健太)とも仲良くなるのだった。だが母が夜半に家を出てしまい、村人総出で捜索するが、丸一日たっても母は戻ってこなかった。初雪が降り自殺していた母の遺体が発見される。葬儀の日、杏は砂時計を母の位牌に投げつけて「お母さんの弱虫!」と叫ぶ。(このときの夏帆の演技はなかなか上手)飛び出す杏の後を追いかける大悟にしがみついて泣く杏に大悟は「俺がずっと一緒におっちゃるけん!」と言う。それからというもの2人はいつも一緒にいたのだが、東京の父が迎えにやってくる。大悟は砂時計を杏に渡す。2人は遠距離恋愛になるが愛をはぐくむのだった。杏を好きな藤と大悟を好きな椎香をはさみ、杏に一途な愛を捧げる大悟と母の死から逃れられない杏の切なくピュアな恋を描く。膨大なストーリーをこれだけの時間に詰め込むのは無理があり(ドラマの方が忠実に描かれる)この話の本当の良さというものがイマイチ伝わってこないが、夏帆と池松壮亮の切ない恋はきめ細やかな演出と静かで美しい音楽も相まって、キュン!とくる。