ヨハネス・フェルメールの絵画は日本でも大変人気があり、フェルメールの絵画が展示されているというだけで入館者は増加する。フェルメールの絵画は小品ばかりであり世界でも33点〜36点ほどしかない。中でも「青いターバンの少女」は一番人気があるのだ。私もこの小さな絵を見たことがあるが不思議な魅力のある絵であった。ターバンの青は<フェルメール・ブルー>といわれる色であるが17世紀当時、ラピスラズリからとるウルトラマリンブルーという絵の具はとても高価なものであり大抵の画家はあまり使用しなかったという。だがフェルメールはこの絵に惜しみなくこの青を使いフェルメールのこの絵に対する特別な愛情が感じられるのだ。そして<ポワンチエ>画法と呼ばれる光の点を少女の唇と瞳に入れており少女の瑞々しい美しさを際立たせている。この映画はアメリカ人女流作家トレイシー・シュヴァリエが「青いターバンの少女」の魅力を史実(フェルメールは謎の多い画家であるが)と創作を織り交ぜて書いた同名小説(1999年200万部売れた)に基づいて映像化した。長編初監督のピーター・ウェーバーはこの作品を認められて「ハンニバル・ライジング」の監督に抜擢された。次回作は「バーバレラ」のリメイクを撮るそうだ。
1665年オランダのデルフト。タイル職人の父が失明してしまい17歳のグリート(スカーレット・ヨハンセン)はフェルメール家の女中として雇われる。ヨハネス・フェルメール(コリン・ファース)は画家だったが遅筆でありいつも金に困っていた。妻カタリーナ(エッシイ・デイビス)と妻の母マーリア(ジュデイ・パーフィット)、6人の子供たちと暮らしていた。母は絵のパトロンでもあるファン・ライフェン(トム・ウィルキンソン)を招待するための晩餐会を開こうとしていたが、フェルメールはちっとも金になる絵画を描こうとはしなかった。義母も妻もフェルメールに口うるさく子供たちは走り回り気の休まる暇のないフェルメールとってアトリエにいるときだけが唯一の安らぎだったのである。グリートはアトリエを掃除していてフェルメールの描きかけの絵にとても心ひかれるのだった。フェルメールもまたグリートが持つ天性の色彩感覚に驚き絵の具の調合をまかせるようになる。その頃グリートには肉屋の息子ピーター(キリアン・マーフィー)という恋人も出来たのだが、フェルメールとの間に師弟を超えた感情が芽生え始めるのだった。2人の微妙な間柄をかぎつけたフェルメールの娘カタリーナがグリートに泥棒の濡れ衣をきせるのだが、フェルメールは反対に娘を叱り付ける。妻カタリーナはそれを聞いて激怒しグリートを疫病神!と呼ぶのだった。義母はどこからか金の工面をつけて晩餐会を開きライフェンを招待する。グリートに目をつけたライフェンはグリートをモデルにした集団肖像画を描けばいいとフェルメールをたきつけるのだった。ライフェンは過去にもフェルメールの使用人を手篭めにしたことがあり、フェルメールはウンと言わない。フェルメールはグリートに「お前一人を描きたい!」と言い、妻には内緒でグリートをモデルにして絵を描くのだった。ある日フェルメールはグリートに青いターバンを巻き、妻の真珠の耳飾りをこっそり持ってきてグリートにつけさせようとする。フェルメールは耳飾りをつけるためにグリートの耳たぶに針で穴を開けるのだった。(官能的なシーンである)そしてそのことがグリートの運命を変えてしまう。本作は絵画的な映像で光の入り方までフェルメールの世界のようである。フェルメールは42歳で亡くなったが後には多額の借金が残されたという。薄幸の天才画家フェルメールにも甘美で至福の時があったと思える哀しいくらい美しい映画である。