原作者のウィリアム・スタイロンは2006年11月に亡くなった。享年81歳。全米図書館賞を受賞した本作は一組の男女を通して悲劇を浮き彫りにした名作である。物語の語り手スティンゴは22歳の時の作家自身の姿である。南部出身で戦争中は海軍におり戦後は出版社に勤務していたがクビになっている。本作はアウシュビッツの悲劇を直接的に描いてはいない。ポーランド人のユダヤ人嫌いやポーランド人がゲットーを作り出したことなど(ポーランド人も収容所に入れられたのだがユダヤ人とは一緒になりたくはなかったのだ)複雑な様相を描く。そういった人間の愚かさを浮き彫りにした。1947年NYブルックリン。スティンゴ(ピーター・マクニコル)はジンマーマン夫人のアパートに引越してきたのだが、階段でケンカをしている一組の男女の姿を見てしまう。男はネイサン(ケビン・クライン)といいファイザー製薬会社研究所に勤めるユダヤ人生物学者で女はソフィー(メリル・ストリープ)というポーランド人だった。スティンゴは美しいソフィーに心奪われる。激昂しやすい男にみえたネイサンは翌日、窓から入ってきて昨日は恥ずかしいところを見られたと詫びる。普段のネイサンは闊達で陽気な男に見えた。エレガントで美しいソフィーはそんなネイサンの庇護のもと幸福そうにしている。3人は仲良くなりコニーアイランドへピクニックに出かけたり楽しい日々を過ごしていた。ソフィーはネイサンとケンカするたびにスティンゴの部屋を訪れるのだが、ソフィーの話には所々ウソが含まれていることに気づくスティンゴだった。そしてソフィーにはウソと同じくらい秘密があった。ソフィーの父親は大学教授で多くのユダヤ人を助けようとしたというのだ。ネイサンによるとソフィーはアウシュビッツに20ヶ月いたが解放された後、疲労と貧血で行き倒れになっていたところをネイサンに救われたというのだ。ソフィーの父も夫もナチスに殺害されてソフィーは頼れるものがなかったのである。スティンゴはソフィーの父の教え子だったという人に会うのだが、あろうことかソフィーの父はナチスの信奉者だったというのだ。夫もまた反ユダヤ主義者だった。それなのに彼らはアウシュビッツに送られたのだ。(ユダヤ人から殺害されポーランド人は後回しにされている。)ソフィーはドイツ語が得意で金髪美人だったのでヘスの秘書をさせられていたのだ。(ナチスを激しく憎悪するネイサンはそのことでソフィーを追い詰めたりする。ネイサンもまた兄のラリーによると妄想性分裂症で苦しんでいるという。)スティンゴはソフィーに自分には本当のことを言って欲しいというのだがソフィーは「真実を話せば、私を理解できて私の嘘が許せるというの?」と問いかける。ソフィーは双子の子供とともにアウシュビッツに移送中にナチスから男の子か女の子かどちらかを選べ!どちらか決めないと2人共殺す!といわれてとっさに女の子を差し出したのだ。女の子はすぐさま殺され男の子のほうは連れていかれる。収容所でソフィーはヘスに父のナチス賞賛論文を見せて息子をドイツ人化計画に組み込んで欲しいと懇願するが子供は抹殺されてしまったという。後日ネイサンと大喧嘩をしてしまったといいソフィーはスティンゴのところへやってくるのだった。スティンゴはソフィーと素晴らしい夜を共有するのだった。スティンゴは2人で新天地で出直そうと申し出る。だが目覚めたスティンゴの傍らにソフィーの姿はなく手紙がしたためられていた。アパートに戻ったスティンゴを待っていたのはネイサンとソフィーが心中したという知らせだった。ソフィー役を演じたメリル・ストリープの名をとどろかせた。ポルトガル訛りの英語を話す金髪美女で究極の選択を強いられたソフィーという女性を見事に演じた。何十年たっても忘れられない映画である。