1982年に製作された当時「E.T」の人気に押されてほとんど興行成績が振るわなかったのが、一部の人たちの間でカルト的人気を誇りじわじわと浸透していったSF映画の金字塔的作品である。監督のリドリー・スコットはこの「ブレードランナー」と「エイリアン」において未来社会の原型ともいうべきスタイルを打ち立てた。「攻殻機動隊」を撮った押井守監督が「どうしてもブレードランナーから脱却できない!」と嘆息まじりに賞賛している。この未来社会を作り上げた美術監督シド・ミードの名もまた一躍有名にした。あのブリンプ(広告飛行船)や屋台などをそのまま持ち込みリュック・ベンソンは「フィフィス・エレメント」というオマージュ映画を作った。原作は早すぎた天才SF作家フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」である。2019年、タイレル社は人間に酷似した人造人間レプリカントを開発・生産して宇宙探索や植民惑星における危険な労働につかせていた。脱走したレプリカントを捕獲して賞金をもらうバウンティンハンターをしていたリック・デッカード(ハリソン・フォード)は同業者のガブ(エドワード・ジェームス・オルモス)に警察の元上司ブライアントのもとへ連れていかれる。デッカードは植民惑星から男3女3、合計6体のレプリカントが逃亡し1体は死亡したのだが4体のレプリカントを殺害することを依頼される。レオンという男を探知機テストにかけてレプリカントであることを暴くが逃がしてしまう。(このシーンも斬新だった)次にスネイク・ダンサーをしているゾーラのところへ行き殺害する。(透明のビニールコートが血に染まり生きたいと渇望するゾーラは印象的)ゾーラの死に逆上したレオンがデッカードを襲うがレイチェル(ショーン・ヤング)に助けられる。タイレル社の社長令嬢レイチェルはレプリカントであることをデッカードはテストで見抜いていた。社長はレイチェルは最新型のプリカントであり<人間として生まれた>という記憶を植え付けられているという。デッカードとレイチェルはいつしか愛し合う仲になるのだった。ところが首謀者と見られるロイ・バッティ(ルトガ・ハウアーの当たり役だった)が自分たちの寿命を聞きにタイレル社に忍び込み社長を殺害してしまう。(事実を知ったバッティの姿が悲しい)デッカードはもう一体の女レプリカント、プリス(ダリル・ハンナがマネキンに紛れて隠れ、長い手足を武器に攻撃してくる)の居場所を突き止めて殺害する。手足をばたつかせて生への執着からもがき苦しむプリスの断末魔は忘れることができないだろう。そして最後のボス、バッティとの対決がデッカードを待っていた。逃亡したレプリカントは5人なのに始末しろと言われたのは4人!あと一人は誰か?またガブが残す折り紙<鳥・人間・ユニコーン>の意味とは?ファンの間で論争となったが、監督はデッカードが5人目のレプリカントだといっている。(ハリソン・フォードの意見は違うようだ。)原作者ディックは社会の底に沈んで陽の目を見ない人間をアンドロイドと捉えていて(作家自身がそうだったからでもある)、その者達が脅威となりうる社会というものを描きたかったのだ。この間の日曜日にもそういった者が歩行者7人の命を奪った。そういうことを含んでこの映画を改めてみるとまた違った見方ができるかもしれない。ヴァンゲリスの音楽もいい。