浅田次郎原作の「憑神」が降旗康男監督で映画化された。「鉄道屋」から8年ぶりのコンビがまた帰ってきたのだ。とはいえライトタッチな話である。最後もなぜか悲劇的な感じはしないのだ。浅田次郎の書いた話だからうまく出来ているのは当たり前だが、芸達者な俳優陣により、いい感じに仕上がっている。別所彦四郎(妻夫木聡)は井上家に婿養子として入ったのだが、お城でのお勤めのミスで離縁されてしまい、母のイト(夏木マリ)と離れで暮らしていた。兄の左兵衛(佐々木蔵之介)は普請奉行のお徒士で妻千代(鈴木砂羽)と3人の子供たちと母屋に住んでいた。別所家の先祖は家康の影武者となりその功により家康公から刀を拝領した家柄である。ところが彦四郎はしがない部屋住まい。兄の嫁からもいやみを言われる毎日だった。馴染みの蕎麦屋甚平(香川照之)からご利益のある稲荷神社の名前を聞いたので行ってみることにしたのだが、そこは枯れ草に埋もれた古い祠があるだけだった。とりあえず彦四郎は幸運をお祈りする。すると蝋燭の火が勝手に灯り「その願い聞き届けた」と声がするのだった。その日から彦四郎の身辺に怪しい人物が現れる。お大尽伊勢屋の姿をした貧乏神(西田敏行)が現れる。その日から実家に嫌なことが起きるのだった。まず兄の失態から借金が出来てしまい俸禄米を差し押さえられてしまうのだった。その上兄、左兵衛は武士の禄を500両で売ろうとするのだった。驚いた母は嘆き悲しむ。一方彦四郎は井上家の従者、小文吾(佐藤隆太)から自分が井上家から追い出された訳を聞いて驚く。井上家の舅が全て仕組んだことだというのだ。小文吾の修験道の呪文に押さえ込まれる貧乏神、西田の怪演ぶりが面白い。貧乏神によると災いを誰か他の人に転じることが可能なのだという。小文吾は金の亡者で井上家の舅に転じたらよいと彦四郎に勧める。そして井上家は火事を出してしまい着の身着のまま放り出されて蓄えた金も灰燼に帰してしまうのだった。だがこのままでは終わらなかった。貧乏神によると三巡神社(稲荷神社)は三回災いがくるというのだ。次に来るのは疫病神だという。早速現れた疫病神は相撲取りの九頭龍(赤井英和)。その姿を見ただけで気分が悪くなる彦四郎だった。すると実家では兄が職務怠慢で御役ご免になるというのだ。母の裁量で兄は隠居願いを出し彦四郎が家督をつぐことになるのだが、真面目な彦四郎は病気の体をおして御役につく。苦労する彦四郎をよそに兄は朝から酒を飲む始末。それを見た疫病神は兄に災いを転じてしまうのだった。兄は吐血し病床についてしまう。そしていよいよ最後の災い死神おつや(森迫永依)が現れるのだった。彦四郎の命は風前の灯!一体彦四郎はどうなってしまうのだろうか?勝海舟(江口洋介)や彦四郎にそっくりの15代将軍慶喜(妻夫木の二役)なども出てきて物語はいよいよラストへ・・・・。最後に稲荷の古祠の前でたじろく浅田次郎の姿が見られるのでお楽しみに!!