「非協力ゲーム理論」を世に出した数学者ジョン・ナッシュの半生を描いた映画。監督はロン・ハワード。ラッセル・クロウとは「シンデレラマン」でも一緒に組んでいる。ジョン・ナッシュは電気技術者の父とラテン語教師の母との間に生まれた。17歳のとき、カーネギー工科大学の奨学生として入学。当初化学を専攻していたが数学に転向する。推薦状をもらいプリンストン大学へ移る。(その時の教授の推薦状には「この男は天才」の文字だけが書かれていたという。)学生時代から風変わりで自分の研究のためにはダンスやスポーツといったようなものは邪魔になると思っており(普通体を動かしたほうが脳が働くという発想をするのだが)、パブにいっても一人の美人を多くの男子学生がナンパしようとするのを観察して、他の女性にもっと目がいけば非効率ではないのにと考え、ゲーム理論を組み立てるのだった。1957年に当時MITで17人いた女学生の内の一人エルサルバドル出身のアリシアと出会う。1958年にプリンストン大学の終身職員になるもこの頃から統合失調症となり職員を辞職。(国防省の暗号解読をさせられて悪化したともいわれている。)アリシアと二人でヨーロッパやアメリカを放浪し1960年にプリンストン大学に復帰する。(映画には描かれていないがジョンはバイセクシュアルで男性と浮気したためにアリシアと1963年に離婚している。)1970年くらいから病状が悪化し入退院をくりかえす。この頃のジョンはニューヨークタイムズ紙を走り読みし<宇宙からのメッセージ>を探していたのだった。構内の職員食堂など立ち入り禁止になっていたジョンは構内を徘徊し<ファインホールの怪人>と呼ばれており、(幻聴を聞く精神分裂症を発症していた。)別れた妻アリシアがそんなジョンを見かねて2001年まで引き取り介護をしたという。1978年にジョン・フォン・イノマン理論を解く。MITの教授に推薦されたときジョンは「南極大陸の皇帝になる予定なので教授の地位は受け取れない」といい断ったそうだ。1980年に一応症状は快復した。そして1994年にノーベル賞受賞する。(映画でのこのシーンは感動する。もっと早くあげて欲しかったと思うのは私だけだろうか?)
昨年、ポアンカレ予想を読み解いたロシアのグレゴリ・ペルリマンが公の場から姿を消して話題になったが(賞金の一億円もいらないといい)数学者の脳というものは我々凡人には及びもつかない領域で働いており、この映画のジョン・ナッシュもまたそういった孤高の天才数学者である。見ていて悲しくなるのだが、あらゆる人間らしい幸福を犠牲にして証明するものが我々人類の進歩に貢献するのだと思うと複雑な思いがする。(ちなみにジョンには若い頃つきあっていた女性との間に息子がいるが、彼もまたマサチューセッツ工科大学を卒業したがジョンと同じ病気らしい。)天才数学者にラッセル・クロウというのはどうかな・・・と思ったのだが、割と違和感なく見れた。