ラクロの唯一の作品「危険な関係」は数多映画化されているが、フランス宮廷を李朝韓国に置き換えてイ・ジョエン監督が映画化した。この作品はジョン・マルコビッチで見た人も多いだろうが、この女たらしのヴァルモン子爵の役をペ・ヨンジュンがウォンという役名で演じているのだ。ペ・ヨンジュンのファンの女性方はどう見られたのか判らないが(「冬のソナタ」とは全く違う役柄なので)この人は甘ったるい役柄より、こういった役柄のほうが似合うのではないかと思えたのだがどうだろう。微笑まないペ・ヨンジュンは剃刀の刃のように怜悧に見える。この小説は女遍歴の多い好色な男がガードの固い未亡人と情を通じて本当の性愛を知るという話なのだが、その傍目には判りにくい事柄を書簡により表現している。自分と男が同類だと思っていた高官夫人がそれを読み嫉妬に狂い、愛を捧げる未亡人と男を死に追いやってしまうという結果になってしまうのだが、アメリカ版より韓国版のヒロインの死に方のほうが良かったように思える。恋愛映画のメッカである韓国はこういった表現がうまい!
真実の愛を知らない高官の妻チョ夫人にイ・ミスク(この人は「桑の葉」でその昔エロティックな女優として有名な人である)。監督がイ・ミスクを口説き落として10年ぶりの映画出演となるらしいが、この屈折した複雑な女性をよく演じていたように思う。9年間操を守り続けていたがウォンに陥落されてしまう未亡人ヒヨンにチョン・ドヨン。(彼女は取り立てて美しい女優ではないのだがウォンがはからずも愛してしまう魅力をもった女性になりラストでは本当に美しく思えた)高官の16歳の淫蕩な側室ソオクにスクリーンデビューとなったイ・ソヨン。韓国映画界は割合にリメイクの多いところなのだが、多作なのでその中から珠玉の一本が生まれてきてもおかしくないだろう。