2000年にカンヌ映画祭グランプリ受賞をした問題作!「紅いコーリャン」や「芙蓉鎮」など中国の名作に出演していたチアン・ウェンが「太陽の少年」に引き続き主演・監督をした作品。ロケ地は河北省唐山である。ユウ・フェンウェイの短編小説「生存」を映画化した。中国華北の寒村、マー・ターサン(チアン・ウェン)は恋人のユイアル(チアン・ホンポー)と同衾している最中に突然、表の戸がけたたましく鳴る。「誰だ!」と言うと「私だ!」と答える相手はマーに拳銃を突きつけて表の荷物を預かれ!という。5日すれば引き取りに来るからそれまで尋問をしておけ!と言うのだ。言うことをきかないと村人全員を殺すというのだ。マーは仕方なく預かるが、麻袋の中には日本兵と通訳の中国人が入っていたのだ。この2人の処置をめぐって侃々諤々する村人たち。長老はとりあえず調書を取ることにするのだが、日本兵は花屋小三郎(香川照之が緊張感のある芝居で魅せる!)と言い、一緒にいる通訳はトン・ハンチェン(ユエン・ティンもまた日本語と中国語を操り上手な俳優である)というのだった。花屋は「中国人を犯した!殺した!」とわめきちらすのだが、トンは「部隊に入ったばかりで誰も殺していません。」と嘘の通訳をする。2人を預かることになったマーだが、何もない寒村のこととて食料の調達にさえ苦労する始末。一方花屋は名誉ある死に方をしたいためにトンに村人を怒らせるような言葉を教えてくれという。村の強欲婆さんから小麦粉を8倍に返すという約束で借りて水餃子を作ってくるマーとユイアルに花屋は「お兄さん!お姉さん!新年おめでとう!」と怒鳴るのだった。トンは殺されないために花屋に嘘の中国語を教えたのである。そしてこんな北の果ての村にも日本軍の軍靴の音が近づいてくる。日本軍に見つかれば村人全員が虐殺されることは必至である。村人たちはマーに2人を殺せ!というのだが・・・・・。花屋の上官、酒塚猪吉を演じた澤田謙也が日本軍人らしくてなかなかに良かった。「男たちの大和」など最近の日本人は日本軍を正確に描けなくなっているのだが、この映画は中国人が撮影したとは思えないくらい日本軍を描けている。「硫黄島からの手紙」などを観ていると腹立たしさまで感じるのだ。一見日本人批判と取るのは容易いが日本人が陥った狂気のようなものが冷静に描かれているのだ。