70年代を代表する作品。ニック・コーンの原作を「セルピコ」のノーマン・ウェクスラーが脚本に書き、監督は当時、長編二作目のジョン・バダムに白羽の矢が立った。(後に「ドラキュラ」や「ニック・オブ・タイム」などを撮っている)。最近のトラボルタしか知らない人は1977年、23歳のトラボルタのダンスに驚くだろう!このステップ、振り付け、ピタッとしたギャバジンのパンツに花柄のシャツ、白のポリエステル・スーツなどのいでたち、オールバックにセットした髪など、当時のディスコではそっくりそのままコピーしたかのような男性が踊っていたものである。だがこの作品、ただのダンス映画ではない。70年代のウォーター・ゲート事件や高い失業率、夢や生きる目的を見出せない若者たち、ブルックリン橋を隔てた格差社会のひずみ、イタリア系移民とプエルトリコ移民の抗争などを盛り込んだ社会派映画となっていて見応えがある。テーマの重さをトラボルタのしなやかなダンスとビージーズのディスコ音楽が緩和している。今見ても色褪せない名作といえるであろう。19歳のトニー・マネロ(ジョン・トラボルタ)はイタリア系移民の子。父は失業しており一家の希望である優秀な兄(マーティン・シュイカー)はよそで聖職者の道を歩んでいる。母は敬虔なクリスチャン、お兄ちゃん大好きっ子の妹とおばあちゃんの5人家族。貧しい両親は喧嘩が絶えない。トニーはベイ・ブリッジのペンキ屋で働いていたが、毎週土曜日の夜にはディスコ・キングに変身する。トニーと友人4人は<フェイス>と呼ばれており地元の顔でもあり、幅をきかせていた。もうすぐディスコ・ダンス・コンテストが開催されることとなっていたが、パートナーのアンネット(ドナ・ベスコウ)はトニーに片思いをしており、うるさくつきまとう。その上ダンスの腕もうまくなかった。ある夜、トニーは完璧なダンスを踊るステファニー(カレン・ゴーニー)に目を留める。鼻持ちならないが上昇志向の強いステファニーと話す内にトニーの中で何かが変わる。友人たちは相変わらず女とカーセックスをしてプエルトリコ人らともめていた。ある日、兄が聖職者を辞めて実家に帰ってきた。落胆する両親。だが兄はトニーに「自分が正しいと思う道を進むんだ!」と言い家を出て行く。トニーはステファニーとコンテストに出場して優勝するが、いい加減な審査に嫌気がさす。(どう見てもプエルトリコ人ペアの方が実力は上だったからである)友人のボビーはガールフレンドを妊娠させてしまい悩んでいたが、トニーが真剣に彼の話を聞いてやらなかったせいで、ブルックリン橋の上から落ちて死んでしまう。トニーは友人ともベイ・リッジとも決別して自立への道を模索するのだたった。ジョン・トラボルタは当時TV番組「ウェルカム・バック・コッター」でアイドルとなっていたが、「キャリー」でヒロインに豚の血をかける役で映画デビュー!そして本作で押しも押されもせぬスターとなった。「グリース」、本作の続編でシルベスター・スタローンが監督を務めた「スティン・アライブ」までは順調だったが、それから10年間ほど鳴かず飛ばすの状態が続き「パルプ・フィクション」で返り咲いた。本作を撮影しているとき、最初の18歳年上妻を乳がんで失っており、映画の後半で見せる虚ろな悲しみの表情はリアルである。彼がソロで踊るシーンは最高の見せ場だが、毎日3キロのジョギングと3時間のダンス猛特訓を欠かさなかったという。9キロの減量をしており随分引き締まった体をしている。余談だがトラボルタは大の航空機マニアで実際に2機のジェット機と数台の軽飛行機を所持しており、自宅に滑走路も所持している。2004年に来日したときもボーイング707機を自分で操縦してやってきたという。本作のリメイク話があり、キーラ・ナイトレイとオーランド・ブルームが出演するらしい