広瀬隆の著書「東京に原発を」(1986年刊)を伊丹十三の下で修行していた山川元監督の問題作!天馬都知事(役所広司)の一言「東京に原発を作るぞーっ!」で都庁内は大騒ぎ!都知事に民間シンクタンクから引き抜かれた津田副都知事(段田安則)は原発推進派の知事とは対立している。笹岡産業労働局長(平田満)は新聞をスクラップした資料を常に持ち歩き、TVなどメディアやインターネットから情報を得ている石川都市計画局長(菅原大吉)とは反目していた。常に腰が低く小声で話す気弱なキャラ佐伯政策報道室長(田山涼成)も思わず大声を上げて怒り出す。日和見主義の大野財務局長(岸部一徳)はオロオロするばかり。紅一点の泉環境局長(吉田日出子)はゴミ分別には無関心で冷房もつけっぱなし、トイレの紙はゴロゴロ使う。こんな使えない連中ばかりの中、副知事だけは何とか推進派の都知事の考えを改めようと、東京大学の原子力エネルギー専門家、根本教授を招致して原子力の危険性を熱弁してもらう。(このデータが全て正しくないという意見もあるが、原子力発電のリスクの高さを語るには十分である)一方、松岡原子力安全委員(益岡徹)は敦賀発電所においてある実験をするために<あるもの>を移送しようとしていたのだが、その運転手中村(塩見三省)の乗った車がカージャックにあってしまう。爆弾マニアの少年は運転手を脅かして都庁に行け!と命令するのだった。天馬都知事の真の目的とは・・・・及川特別秘書(徳井優)だけが知っていた。本作は原子力発電の危険性とそれを招致する地方財政の問題、その電力を享受する国民、電力を一番必要とする東京に原発がないのはなぜか?そういった問題に焦点を当てている。伊丹十三の所にいた人らしく映画に仕込んだ毒はじわじわと効いてくる。山川監督にはこれからも、こういった映画つくりをしてもらいたいものである。