
この間も紹介した「タクシデルミア」の監督パールフィ:ジョルジが世に出るきっかけとなった短編作品である。HUKKLEとはシャックリのこと!ハンガリーの小さな町ケシェネーシュ。その町に一人住むチェリックおじいさん。朝ごはんを食べようとするのだが急にシャックリが出て止まらなくなった。スープもこぼれて飲めやしないおじいさんはシャックリをしたまま家の前のベンチにこしかける。前の道路を様々な動物や人が通り過ぎる。オス豚を連れた人・自転車の少年・羊の群れと羊飼い・郵便配達人・牛の一団・荷馬車のイビキをかいている御者・荷台には空の缶・カモやアヒルたち・・・・ヒック!ヒック!というおじいさんのシャックリに呼応するようにブーブー、ガーガー、カラカラ、コトコトという音が鳴る。年金をもらいにきたおばあさん。受け取りにサインするペンのインクがポトポトと滴り落ちる。荷馬車の男が泉に到着してポンプで水をくみ上げる。草原には木にもたれて眠る羊飼いの少女。その姿をじっと見つめる男。少女の肌に天道虫が飛んできてお散歩する。養蜂場では女王バチやミツバチの羽音が聞こえる。パンからハチミツが滴る音。田舎家のパブではハエがブンブン飛び回り、表の側道では15人ほどの村の男たちがボーリングをしている。男たちが遊んでいる間にも女たちは裁縫工場で一生懸命働いている。女たちはナニやら液体の入った小瓶を手渡しているのだが・・・・。おじいさんの前の道を葬式の行列が重々しく通る。セリフは一切ない!落ちた鳥のフンに混ざっていた種子から芽ぶく植物。それはスズランの花だが、死んだ男の墓に咲く。製粉工場からやってきた粉でご馳走を作るおばあさん。おじいさんには特別の料理を作るが、小瓶の液が隠し味のようだ。同じ料理をネコに食べさせるおばあさん。それを食べたネコがもがき苦しみ死んでしまう。おだやかな風景。一人の男が池か湖で大きな魚を釣り上げる。その水底には男の死体が・・・・。穏やかで平和な風景の中おじいさんはシャックリを続ける。シャックリが途絶えたかと思うと家全体が揺れだす・轟音とともに低空を飛び去る空軍ミサイル機。なんとも不穏な世界である。おじいさんの家の前を又葬式の行列が・・・・。ちょっと忘れられない映像を撮るのに長けている監督!いい意味でも悪い意味でも凄い才能である。