「蛇イチゴ」の西川美和監督の第二作。最近の若い女性監督たちは独自の視点から映画を撮っておりなかなか水準が高い!この監督もまた人物描写に卓越しているのである。
早川猛(オダギリジョー)は東京でカメラマンとして成功していたが郷里の兄、稔(香川照之)から母の一周忌をするので帰ってこいと連絡が入る。猛は仕事が多忙だからと母の葬儀にも出席しなかったのである。そのことで父親の勇(伊武雅刀)とはいまだに不仲のままであった。親戚連中にも不評である猛を心配した稔の懇願でもあり仕方なく猛は帰郷するのだった。実家はガソリンスタンドを経営しており兄は母が死んでからというもの、父の面倒を見ながらガソリンスタンドの経営もして親戚付き合いも滞りなくしているのだった。実直で従順、大人しい兄と奔放で気ままな弟。母の法要にも気をつかいペコペコしている兄とは対照的にどこか不遜な弟だった。スタンドで働く元恋人の川端智恵子(真木よう子)を送ってやるからと自分のスポーツカーに乗せる猛。アパートにあがりこんであっさりと関係を持ってしまう。稔の智恵子に対する思いを知りながらも智恵子を抱く猛だった。帰宅すると稔は猛のシャツにアイロンをかけている。翌日3人で思い出の渓谷へドライブに出かけるのだが、智恵子は猛と2人きりになると「東京へ私を連れていって!」と切り出す。東京にも付き合っている彼女のいる猛は言葉を濁すのだった。智恵子は稔の方へ行って2人はつり橋の方へ・・・。写真を撮影する猛がつり橋の方へカメラを向けると悲鳴とともに智恵子が落下する。つり橋で兄と智恵子の間で何があったのか?それを猛は目撃したのか?智恵子は死亡し稔は逮捕されて裁判となる。兄を擁護する猛の姿が法廷にあった。だが兄は・・・・。接見に行く猛に「お前は俺をバカにしているのか!」と一喝する稔。猛は証言を翻す。つり橋の上で高所恐怖症の兄と智恵子の間で交わされた会話とは?
ゆれる・・・愛が憎悪に・・・・親子であっても男女であっても何気ない一言や流れによって愛情が殺意に軽蔑が尊敬にかわる。ここに出てくる人間は善人ではない。猛は薄情でずるい人間であるし智恵子もまた猛を利用しようとして拒絶され稔に怒りをぶつける。稔もまた一番のいい人に見えるのだがその従順な仮面の下に隠し持っている抑圧された何かがある。そういった人間の怖さをゆれるつり橋を使って監督はじわじわと見せる。