乙一の名作「暗いところで待ち合わせ」を「AIKI」などの天願大介監督が映画化。秀逸な演出で魅せる!駅のホームが見渡せる場所にミチル(田中麗奈)の家はあった。事故が元で盲目になってしまったミチルは毎朝、二階の窓を開け放ち朝の新鮮な空気を胸いっぱいに吸う。それを駅のホームから見上げるアキヒロ(チェン・ポーリン)。ミチルは階下に降りると父(岸部一徳)と2人分の朝食を作る。父はミチルの誕生日を忘れてはいなかった。小さな包みをミチルに渡すと「いってきます。」とでかける父。ミチルが包みを開けるとペンダントになった時計が入っており、ボタンを押すと「9時5分です」と声で時刻を知らせてくれるのだった。そして父が昨夜遅くまで打っていた点字の手紙も入っていた。ニッコリ微笑むミチル。だがミチルは知らなかったのだそれが父の最期の言葉になるとは・・・・。父が勤務先でそのまま倒れ亡くなってしまう。通夜の日、盲目のミチルを一人でこの家に住まわせるのは心配だという親戚たちに「ワタシは大丈夫ですから!」とキッパリ言うミチルだった。伯母さんの一人がミチルの耳元で囁く。「今さっきあんたのお母さんが来ていたのだけれど、ミチルちゃんに会っていく?って言ったんだけど、やっぱり会えないからって・・・帰ったのよ。でも今ならまだ駅にいるはずよ!」それを聞いたミチルは二階へ上がり窓を開けて声を限りに泣き叫ぶ!「お母さーん!!お母さーん!!お母さーん!!」と。風雨の激しいホームに電車が入ってくる。電車の窓に思わずかけよるアキヒロ。そしてちょっと間をおいてミチルの母が悲しげに叫ぶミチルを見上げる。(この場面は素晴らしい!ミチルの母がなぜ家を出たのかその訳は明かされないが、それを補って余りある親子の関係を観客は察してしまうのだ)翌日からミチルの日常は変わらない。友人のカズエ(宮地真緒)が心配して一緒に買い物につきあってくれる。(ミチルはある事があってから一人では外出できないのだった)ある日、電車の急ブレーキ音がする。時刻は9時5分。玄関のチャイムがなりミチルは出るが、誰もいないようだ。玄関のドアからこっそりとアキヒロが家の中に入っていく。首をかしげて家の中に入るミチル。アキヒロは駅のホームが見える居間の窓際に音を立てないように座る。騒然とし始める駅。ミチルはTVのニュースをかける。駅では松永トシオ(佐藤浩市)が同じ職場の大石アキヒロに突き落とされて電車に轢かれて死んだというニュースが流れていた。その報道をまんじりともせずに見つめているアキヒロ。夜になりミチルが二階に上がると、アキヒロは食パンを一枚と牛乳を少しだけクチにする。数日後、ハルミ(井川遥)という女性が洗濯物が飛んできたといってやってくる。ハルミはイタリアン・レストランに勤めているといい、一度いらしてくださいと誘う。後日カズエと一緒にそのレストランへ食事に行くミチルだった。「ハルミさんて綺麗な人よ。」というカズエ。3人で写真もとって楽しい一日を過ごす。ある日、高い所にあるものを取ろうとしてミチルはバランスを崩して落ちてしまう。仰向けに落ちたミチルの顔面に当たりそうになった土鍋を間一髪で受け止めるアキヒロ。そしてアキヒロは土鍋をそっと下ろすのだった。誰かいるかもしれない・・・と人の気配を感じていたミチルのそれは確信へと変わる。その夜からミチルは2人分の食事を用意するのだった。静かに食べる二人が微笑ましい。そして奇妙な同居が始まる。アキヒロも又、様々なことを考える余裕がでてくる。職場では中国人とのハーフだからと松永に苛められる毎日だった。同僚たちもアキヒロに仕事を押し付けて、失敗をアキヒロの精にした。「中国へ帰れよ!!」と言う松永に殺意を感じていたアキヒロ。だが映画は意外な結末を迎える。しみじみといい作品である。