ニュージーランドのアルバカーギル、早朝から大きなバイク音を立てる小屋のような家がある。バート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)は近所に怒鳴られながらも愛車インディアン・スカウトのチューニングに余念がない。隣家の少年トム(アーロン・マーフィ)はバートのことが大好きだった。毎朝やってきては雨水を貯めたドラム缶からケトルに水を入れストーブの上に乗せて紅茶の用意をするのだった。その間バートは廃材を溶かして部品を作るのだが、鋳型に流し込み冷やすのは雨水を貯めたドラム缶だ。それでバートの家の紅茶は鉄の味がした。バートは63歳の年金暮らし。今日はバートの単車仲間が彼のレース費用をカンパしてくれるのだった。郵便局の彼女フラン(アニー・ホイットル)と自宅で愛を交わしたのはいいのだが、急な心臓発作に見舞われ救急車で病院へ運ばれたのだが、バートのバイク乗りにドクターストップがかかってしまう。もう後がないと考えたバートは長年の夢だったアメリカのボンヌヴィル塩平原のバイクレースに出ることを決心するのだった。家や土地を抵当に入れて渡航費用を捻出したバートはインディアンを梱包して貨物船に乗り込む。彼を見送ったのは少年とフランと以前レースをしたバイク暴走族の若者たち。(彼らは餞別までくれた)お金の乏しいバートは貨物船のコックとして乗船。船の乗組員の若者ともすぐ仲良しになってしまうバートだった。ロサンゼルス港に着いたはいいが入国審査で足止めをされ、タクシー運転手にはぽったくられ、花の売り子に大きな札を持っていかれる。モーテルの受付にはオカマのティナ(クリス・ウィリアムズはバネッサ・ウィリアムズの弟だ)がいるが女性に優しいバートはティナにとても気に入られて親切にしてもらえる。(バート・マンローという人物は差別意識がなく、快活で屈託がない。いくら困っても困った顔をせず他人の好意を素直に受け取る。要は大人のじじいなのだ。)ティナのお陰でインディアンをロングビーチ税関へ引き取りにゆくことが出来るのだった。中古車店では90ドルの最安値でナッシュのスティーションワゴンを手に入れて、店主のフェルナンド(ポール・ロドリゲス)に頼み込み工場を使わせてもらう。牽引機を自作するバートに店主はよかったら店に居てくれとまで言われる。ボンヌヴィルまでの道のりでも、原住民に泊めてもらったり、車輪がはずれても未亡人エイダに助けてもらったりするのだ。やっとの思いで到着するも前もってエントリーをしていなかったバートはレースに出場できないと断られるのだが、現地で知り合ったジム(クリス・ローフォード)に頼み込んで何とか出場させてもらうのだ。年齢もマシンもロートルのバートとインディアンに笑うものもいたが、スピードを出すためにタイヤを削ったり部品を台所用品で代用したりしているマシンを見てみんな驚く。私は団塊の世代以降の人に是非見てほしいと思うのだ。中年も過ぎれば大抵は体にガタがくる。保険だ年金だと政府はちっとも国民の老後のことは考えてくれないとお怒りの人は絶対見られたほうがいい。バート・マンローに生き方を学ぼうではないか!彼が1962年63歳で出した記録はその後も彼自身により(何度もボンヌヴィルにやってきたのだ)塗り替えられており現在もなお破られてはいない。