1981年野間新人文芸賞を受賞した立松和平の「遠雷」をロマン・ポルノの巨匠、根岸吉太郎監督が映画化。この主人公にはモデルがいるという。立松和平が宇都宮市役所に勤務していた当時、ピアスにパンチパーマの兄ちゃんがトマトのハウス栽培をしていたという。増渕貞雄という若者と知り合った立松和平は彼から様々なことを聞く。ハウスはコストがかかりすぎて米作りに転向する農家が増えたとか、親の世代は土地を捨てて浮遊民のようになっているということを一見チンピラにしか見えない若者の口から聞かされた立松和平は突き動かされるようにして「遠雷」を執筆する。今読み返すとこの小説の言わんとするところが現在にも通用するということを痛感する。こんな風にして日本人は農業をなおざりにしてきたのだなあ〜と改めて思うのだ。そして現在の食料自給率の低さや食の安全性の問題につながっていくのだということに・・・・。この映画は一方で石田えりという女優の魅力を余すことなく映し出している。石田えりの素晴らしいオールヌードは映画史に残るだろう。満夫(永島敏行)の父(ケーシー高峰)は農地を売って大きな家を建てたが、今成金となった父はバーの女あや子(藤田弓子)に入れあげて家を出て女と同棲をしていた。団地に隣接する小さな農地でトマトのハウス栽培をしながら満夫は母(七尾怜子)と祖母(原泉)と広い屋敷で暮らしていた。亭主(蟹江敬三)持ちだが友人とスナックをやっているカエデ(横山リエ)と時たまハウスの中でSEXするのが楽しみの満夫だったが、お見舞い話が持ち上がる。相手はチイ(石田えり)とう健康そのものの明るい娘だった。満夫は一目でチイを気に入ってしまう。(この2人が部屋に蚊帳を吊ってホタルを放ち、SEXするシーンなど忘れられない美しさである)その間に父親が選挙法違反で逮捕されたり、トマトがアブラムシにやられたりとトラブルが続く。チイの親の願いもあり2人は盛大な結婚式を自宅で行う。結婚式の日、カエデと駆け落ちしていた友人の広次(ジョニー大倉の名演技は強烈だった)が満夫に会いにやってくる。広次は持ち逃げした金も2人で使い果たしてしまい、カエデを殺してきたというのだった。「俺の田んぼ頼むわ!」と言い残して広次は警察に自首する。なんてことはない話である。夜のビニールハウスは何だかホッとする美しさだが(今頃ではイチゴのハウスなど)電灯の中でほお〜っと赤いトマトが美しく、石田えりの瑞々しい肢体とあいまって命の豊饒さや輝きを感じさせる。