芸人だが右翼的過激演説という芸風でカルト的人気を誇る鳥肌実の主演映画。今年も創価学会批判や北朝鮮主席に対する発言などで物議をかもした。反面、下ネタ満載の発言も繰り返すので滅多にTVに出ることはない。(今年亡くなった筑紫哲也のニュース番組に出演したときは反響が大きかったという)本物の右翼と対談することになって逃亡したこともあり意外に小心者でもある。演説時には三島由紀夫を彷彿とさせるようないでたちで過激なパフォーマンスをするが、舞台を下りると腰が低い人であるらしい。最も影響を受けた人物は小太郎が以前に書いた「ゆきゆきて神軍」の奥崎謙三であるという。2ちゃんなどでは多くの人が彼の勇姿を見ていると思うが、こんな時代だからこそ注目されるのかもしれない。田中誠監督の本作はそんな鳥肌実のイメージはまったくない。活力のないおとなしい青年を演じており、その上トコトンついていない!(いまどきの若者)田中宏(鳥肌実)はカツラ工場に勤めるサラリーマン。上司(高橋克実)や同僚の誘いも断り、恋人もなく趣味もない。弁当売りの娘(ユンソナ)から親切にされるが興味がわかない。家に帰ると両親が結婚しろ!と矢の催促で血尿まで出る始末。そんな父親(上田光一)が亡くなり、ヒロシの運命は急降下する。父が退職金の前借りをしておりもらえないことが発覚!母親(加賀まり子)がガンになり全身に転移!セールスを断れないヒロシは屋根修理やシロアリ駆除の詐欺商法にひっかかる。ヒロシが散歩しているときに怪しい男(伊武雅刀)から<テルミンと俳句の会>に誘われる。その会に飯島(市川実和子)がおり引かれるように入会する。税理士からこのままでは3年以内に自己破産するといわれて賃貸アパートに引っ越す。ちょっと好きだった飯島がレスビアンだと知りガッカリする暇もなく、母が亡くなり飼っていた猫ミヤコも腎臓病になる。入院したミヤコに付き添った帰りに会社に電話をすると倒産したという知らせが!坂道の転がるような不運つづき!バッタリと弁当屋の娘に出会う。一緒に話ながら帰ると上から鉄骨が落ちてくるのだった。あ〜っ!ヒロシの不幸の人生もついにピリオド・・・・というときに奇跡が起こる。たくさんの不運に見舞われた若者のちょっぴりの幸福!音楽も凝っており西田佐知子の「コーヒー・ルンバ」やアイ・ジョージの「これぞ恋」日吉ミミの「蘇州夜話」など絶妙である。エンディング曲はクレージーケンバンドの「シャリマール」となかなかセンスがいい!