はなれ瞽女おりん(80点)
![]() | はなれ瞽女おりん (2005/05/27) 岩下志麻樹木希林 商品詳細を見る |
水上勉の「はなれ瞽女おりん」を篠田正浩監督が映画化。美しいみちのくの風景を切り取った撮影監督の宮川一夫のカメラワークも素晴らしく、監督とは「心中天網島」などでタッグを組んだ美術の粟津潔がいい仕事をしており、瞽女の生活や制度、厳しい掟を描き見ごたえがある。珠玉のセリフの一つ一つが身に沁みる。若狭小浜の仏谷に生まれたおりんは生まれながらの盲目。母に捨てられたおりんは6歳の時に富山の薬売り、斉藤のおど(浜村純)に連れられて越後の高田、里見の親方テルヨ(奈良岡朋子)の元に預けられる。当時、盲目の女はあんまか女郎になるしかなかったのだ。だが器量よしのおりん(岩下志麻)は初潮を迎えた頃から、行く先々で男から肉体を狙われる。その誘惑に負けてしまうと彼女らは瞽女の世界から落とされて<はなれ瞽女>になってしまうのであった。それは芸も売るが肉体も売り、廃寺や雨露をしのぐ程度の場所で寝泊りをする乞食のような境涯になってしまうことを意味する。だが、おりんは好奇心から助太郎(西田敏行)に処女を奪われてしまう。その結果、おりんは落とされてしまい、男から男へと渡り歩く境涯になってしまうのであった。大正7年、おりんは一度も体を求めてこない平太郎(原田芳雄)という男に出会う。平太郎はおりんの付き添いとなっておりんの後をついてくるのであった。おりんが<八百屋お七>を歌うそばで村人の酒を注いだり投げ銭を拾ったり、<口説き節>を歌うおりんの鼻緒をすげかえたりしている平太郎の姿があった。その内、平太郎は大八車を持ってきて2人の所帯道具を運んだりする。元々は下駄屋の息子だった平八郎は下駄を売り始める。その隣で下駄をトグサで磨くおりんの姿があった。抱いて欲しいというおりんに平八郎は「兄と妹として暮らそう!」と言う。平八郎はおりんを観音様のように大切に扱うのだった。だが柏崎の薬師寺に露天を出していて地元のヤクザと大喧嘩になり、平八郎は警察に拘留されてしまう。同じ行商仲間の別所(安部徹)はおりんに横恋慕しており、平八郎がいないのをいいことに一緒に行こうとおりんを誘う。うんと言わないおりんを松林の中で抱きすくめる別所におりんは抗しきれず体を許してしまう。その後にやってきた平八郎は様子のおかしいおりんの異変に気づいて別所を追いかけて刺殺してしまう。脱走兵である上に殺人を犯してしまった平八郎はおりんにここで別れようと言うのだった。平八郎は南へ行くからおりんにも南の方へ行けといい、絶対に探し出してやるから・・・と約束するのだった。おりんは途中、おなじはなれ瞽女のたま(樹木希林)に出会い、2人で角付けなどをしながら南へと下った。善光寺の山門で平八郎はおりんを見つける。ひっしと抱き合う2人はその夜始めて結ばれるが、今西刑事と軍人の袴田(小林薫)らの追っ手に逮捕されてしまう。本作は一人のはなれ瞽女おりんの生涯を描いており、とても悲しい話であるがハッ!と息の呑むほど美しい。ラストも水上勉らしく心に残る。
神の左手 悪魔の右手(10点)
楳図かずお先生の「神の左手 悪魔の右手」を金子修介監督が映画化。この監督「あずみ2」「デスノート」など漫画の映画化に関わることの多い人だが、どれも及第点に達していない。どの作品も駄作!安物っぽい作りをする人である。人間の悪意を夢で予知する少年ソウ(小林翼は「子連れ狼」で大五郎を演じていたカワイイ子役)。今回も夢を見て首から血を噴出す。姉のイズミ(渋川飛鳥)はソウが以前言っていたことを思い出す。「赤い携帯を持って、黄色い電車に乗って、捕まっている女の子を助けてあげて!」イズミはソウを助けようと赤い携帯を探す。行方不明の少女アユを探している青い服を着た少女ヨシコ(前田愛)に出会ったイズミはヨシコが赤い携帯を持っていることに気づく。一方、山小屋ではキエ(かでなれおん)とヨウコ(今井春奈)がテーブルにいっぱいあるケーキを食べようとするが、斧を持った男に襲われて首を切られる。白い洋館に住む足の悪い少女モモ(清水萌々コ)は父、久保田光一郎(田口トモロヲ)が描いてくれる絵本を楽しみにしていたが、その絵本は少女が惨殺されるものばかり。ある日、モモは父が働きに出た留守に階下に降りて冷蔵庫の中に2つの少女の首が入っているのを見てしまう。モモの悲鳴を聞いて付近まで来ていたイズミとヨシコが館に入ってくる。だが父親が戻ってきたので急いで屋根裏部屋に隠れる2人。原作漫画は面白いが映画は甚だ面白くない!それなりに可愛らしい少女が出ているのだが、十把一束!特殊メイクや生首などもチープである。ラストにソウが殺害されたイズミの腹から出現して「我が左の手は、正しき者を蘇らせる神の左手、我が右の手は悪しき者を滅ぼす悪魔の右手」といい邪悪な存在である光一郎に天罰を下す場面が最大の見せ場なのだが、それもなんだか安っぽい!楳図先生は人間の残虐性を描いており先生いわく「自分の作品の中で一番恐ろしい作品」と述べている。この辺を監督はわかっているのだろうか?(わかってはいないだろう)楳図先生もカメオ出演しているよ!
アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵(50点)
![]() | アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵 (2007/04/25) カトリーヌ・フロアンドレ・デュソリエ 商品詳細を見る |
2005年、アガサ・クリスティー没後30周年ということで製作された本作はご当地フランスでは200万人を動員したというヒット作!おしどり探偵トミー&タペンスのシリーズの中の<親指のうずき>をチョイスするあたりがフランスらしい。監督はパスカル・トマ。ミステリーと言うよりは、ステキな熟年夫婦のお話という感じの出来栄え!陸軍大佐のゼリベール(アンドレ・デュソリエ)と妻ブリュダンス(カトリーヌ・フロがチフォネリのスーツにエルメスのバッグを持ちステキな奥様を演じている)はレマン湖畔の館に住む熟年夫婦。愛車オースティン・ヒーレーE3000に乗って、ゼリベールの叔母のいる老人ホームを訪問する2人。叔母はブリュダンスを遠ざけてゼリベールに妙なことを言う。ブリュダンスはホームの中でローズ夫人(ジュヌビエーブ・ビジョルドは「1000日のアン」などに出演していた女優だが、あまりに年を取っており最初誰だかわからなかった)からおかしなことを聞く。数日後、叔母の突然の死の知らせに驚く2人。その上ローズ夫人はホームから姿を消していた。叔母の遺品の中には不思議な館の絵画があり、ブリュダンスはどこかで見たことがある館だと気づく。遺品の一つ、からくりオルガンにも何か隠されていそうである。ゼリベールは「君と結婚すれば退屈しないだろうと思ったから結婚したんだ。だけど今は私に仕事をさせてくれ!」とブリュダンスを牽制するが、ブリュダンスの<親指のうずき>は事件の予感を告げていた。娘夫婦が双子の孫を連れて一ヶ月滞在する予定で不意にやってくるが、ゼリベールは仕事にブリュダンスは館のありかを求めて出かけてしまう。(孫と過ごすより推理が大好きなブリュダンスはいかにもフランス人っぽい!)目的の館を見つけるも、その館の裏側に住んでいる夫婦に話を聞く。その村の情報を収集するために宿屋に滞在するブリュダンス。教会の神父や村祭りの世話役をしているプレイ(ヴァレリー・カプリスキはその昔リチャード・ギアと「ブレスレス」で共演していたナイス・バディな女優だったが、老けておりわからなかった。)とも接触する。戻ってこない妻を心配していたゼリベールだが、老人ホームの医師をしていた男から会いたいという電話をもらう。老人ホームの謎の失踪事件と村での少女失踪事件が一つに・・・・。ステキな熟年夫婦のステキなセカンドライフといったところだが、ミステリーを期待してみると裏切られる。フランスの田舎町や夫婦の住む館がとても美しい!
隣人は静かに笑う(70点)
テロ犯人が実際は仕組まれた犯人であったら?・・・・怖い作品である。監督はマーク・ペリントン。タイトル・デザインは「セブン」などデヴィッド・フィンチャー監督の作品で名を挙げたカイル・クーパーである。大学でテロリズムの歴史を教えているマイケル・ファラデー教授(ジェフ・ブリッジス)は路上で大怪我をしているブラディ(メイソン・ギャンブル)という少年を発見して救助する。その少年はマイケルの隣家に越してきたばかりのラング家の長男だった。それが縁でマイケルは隣家のオリヴァー・ラング(ティム・ロビンス)と妻シェリル(ジョーン・キューザック)と親しく付き合うようになる。オリヴァーは設計技師をしておりシェリルとの間には怪我をしたブラディ以下3人の子供がいた。マイケルは2年前に妻を亡くしたばかりで長男のグラント(スペンサー・クラーク)と2人暮らし。(妻はFBI捜査官だったが銃の密輸組織を内偵していて誤認捜査で射殺されている)最近、大学院生の若い恋人ブルック(ホープ・ディヴィス)が出来て立ち直りつつあった。長男のグラントとブラディが同い年ということもあり、ブルックも一緒に家族ぐるみの付き合いをするのだが、ショッピング・モールの設計をしているというオリヴァーの家にはその図面がなく、代わりに事務所ビルの図面があり、オリヴァーとは違う宛名の手紙が来ていることを知ったマイケルはオリヴァーの調査を行うのだった。するとオリヴァーは16歳の時に逮捕されているウィリアム・フェニモアという爆弾魔だという事実を知ってしまう。妻の同僚だったFBI捜査官のウィット(ロバート・ゴセッティ)に話すが取り合ってもらえず、独自で調査するが、怪しいオリヴァーの姿を目撃してしまった恋人ブルックが交通事故死に見せかけて殺害されてしまう。その事実を知らないマイケルはショックで落胆していると、オリヴァーが色々と慰めてくれて一旦はオリヴァーに対する警戒心を解くマイケルだった。そしてグラントをブラディと一緒のサマー・キャンプにやってしまうのだったが、ブルックの留守電がはいっており、驚愕の事実を知ってしまうマイケル!だがその時すでに遅し!マイケルはオリヴァーの組織に一人息子グラントを人質にとられていまい、必死になって爆弾が積載されてグラントが乗っていると思われるワゴンを追う!やっとワゴン車を捕まえたマイケルはFBIのガレージに突入!オリヴァーと格闘になるが、再び逃げられてしまう。だがその間に爆弾はマイケルの車に積み替えられてマイケルは自家用車ともども吹っ飛ぶ!新聞にはマイケルが妻の死に対してFBIを恨んで爆死したと報じられているのだった。父が犯人と思ったグラントはオリヴァー一家と共にどこへともなく消えてしまう。(他の3人の子供も犯人にしたてあげられた人の子供か?)恐ろしい話である。実際テロの犯人とされた人物が本当の犯人ではなく仕組まれたことだとしたら・・・・。そんな陰謀がちっとも嘘には見えないアメリカという国が怖い!
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