いつか眠りにつく前に(50点)
スーザン・マイノットのベストセラー小説をジュゼッペ・トルナトーレの撮影監督をしていたラホス・コルタイが映画化。相変わらず詩情豊かな美しい映像で魅せる!だがいたって内容はシンプル。二大名女優と名脇役の名演技がないと見ていられないような作品である。アン・グラント(ヴァネッサ・レッドグレイブ)は人生の黄昏に病気を患い明日をも知れぬ命である。二人の娘コンスタンス(ナターシャ・リチャードソンはヴァネッサ・レッドグレーブの実の娘である。トニー賞候補にもなったことがある実力派舞台女優)とニナ(トニ・コレット)が母の付き添いに来ていた。母のアンはしきりに<ハリス>という名をうわ言のように言うのだった。場面は40年前の過去と現在を行き来する。若きアン(クレア・ディンズ)は親友のライラ(メイミー・ガマーはメリル・ストリープの実の娘だが少しもストリープに似ていない。演技も容貌も十人並みだ)の結婚式に招待されて、ウィッテンボーン家の別荘に来ていた。そこで出会ったのがメイドの息子で今は医者になっているハリス・アーデン(パトリック・ウィルソンも又「オペラ座の怪人」などの有名なミュージカル・スターだ)であった。ライラも又ハリスのことを密かに想っていたが親の決めた男性と結婚するのだった。アンは大学の同級生でライラの弟バディ(ヒュー・ダンシーはオックスフォード出の俳優だが、この映画での共演がきっかけでクレア・ディンズと交際しているらしい)とも再会する。作家志望のバディに告白されるアンだったが、甘ったれたお坊ちゃん育ちのバディをふってしまう。ハリスはアンを秘密の隠れ家に誘う。酔っ払って後を追うバディは車にはねられて死んでしまう。(母親役のグレン・クローズの嘆きぶりが真に迫る)その事があり、アンとハリスはいつしか疎遠になってしまうのだった。その後、アンは作家のラルフと結婚するが暮らしのためにナイトクラブで得意の歌を歌っていたのだが、二人の子供には寂しい思いをさせており、ラルフは子供をうるさがるのだった。そんな時、看護士と結婚したというハリスに再会する。ハリスは長男にバディという名をつけていた。場面は交互に映し出されるが病床のアンを見舞うライラ(メリル・ストリープ)がアンのベッドにもぐりこみ抱合うシーンは感動的だ。だがいくら俳優陣が良くても、シナリオがイマイチだとそういい映画とはならな見本のような作品である。
人のセックスを笑うな(40点)
2004年に文藝賞を受賞し芥川賞候補にもなった山崎ナオコーラの「人のセックスを笑うな」を井口奈己監督が映画化した。不穏な題名で何だかドキドキするのだが、映画はいたって淡々と描写されている。セリフよりキス音だけが耳に残る映画だった。芥川候補になるような作品は読むに限る。終電に乗り遅れてヒッチハイクをしていた猪熊サユリ(永作博美)は一台のトラックに拾われる。<花とギフト堂本>と書かれたトラックには美大生の堂本(忍成修吾)とえんちゃん(蒼井優)磯貝みるめ(松山ケンイチ)が乗っていた。バス停でサユリを降ろした3人は大学キャンパスでサユリを見かける。ライターを借りるみるめ。サユリは気づかず校内に入っていく。サユリ(通称ユリちゃん)はリトグラフ講師として新しく着任してきたばかり。みるめは後をつけて手伝いをする。ユリちゃんのアトリエに呼ばれたみるめはユリちゃんのモデルをすることに。全裸になれというユリちゃんにドキドキするみるめ。19歳のみるめにとって39歳で自由奔放なユリちゃんは忘れられない存在となっていく。年上のユリちゃんに翻弄されるみるめ。ユリちゃんの言うままに関係を持つだけではガマンできなくなったみるめはユリちゃんの家に行ってみる。中には中年の男性がいてお茶と和菓子などを勧めてくれる。パジャマ姿で起きてきたユリちゃんは悪びれもせず「熊谷くんは夫です。」などと言う。ユリの夫(あがた森魚)はとても温かないい人でますます落ち込むみるめ。そんなみるめを好きなえんちゃんも又傷ついていた。まあ、こんなお話。だが小説の方は表現がなかなかに良い。<心だって重く湿って温かいんだ>とかユリちゃんの夫熊谷くんの描写でも<相当の変わり者だ。でもおそらく常識をもっていて人に合わせることができる。しかしその才能がある分、殻が厚く中には風変わりなものがそのままになっている。ユリがこの人を大事に思うことがわかる。>と書かれている。ユリへの愛情も<あの、笑ったときにできるシワはかわいかったな。手を伸ばして触ると、指先に楽しさが移るようだった。>と描写される。小説の持つ独特の感性が映画では語られないのが残念だった。どう見積もっても、みるめは松山ケンイチではない。みるめは<小鳥の群れが飛んだ。生温かいものが宙に浮かぶことが不思議だ。>と感じるような青年なのだから。ノーメイクで自然体!リトグラフのようなワンピースを着ている永作博美が可愛らしい。美大生のクセにほとんど絵を描いている場面がない!その上、無駄に長い!
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