ジェシー・ジェイムズの暗殺(50点)
ビリー・ザ・キッドとジェシー・ジェイムズはお尋ね者として有名だが、原作者のロン・ハンセンはジェシーを暗殺したロバート・フォードに焦点を当てて、ジェシーの最後の7ヶ月間とその後のフォード兄弟の動向を入念にリサーチして執筆した。原作を読んだブラッド・ピッドが感銘し映画化にこぎつけた。脚本・監督はニュージーランド出身のアンドリュー・ドミニク。前半は長丁場であるが後半、ジェシーを暗殺してからのフォード兄弟の人生が興味深い。フォード兄弟を演じた二人の俳優が良かった。兄のチャーリー(サム・ロックウェル)とロバート(ケイシー・アフレックはベン・アフレックの弟だが兄よりうまい役者である)がジェシーを裏切り背後から撃ち殺したのだが、その後の兄弟がその暗殺劇を800回も上演したというのが面白い。暗く静かなニック・ケイブの音楽と美しい映像(夜半の列車強盗シーンや一幅の絵画のような雪景色など)で魅せるロジャー・ディーキンスのカメラが良い仕事をしているが派手なお尋ね者の映画を期待している人には面白くない映画であろう。ジェシー・ジェイムズという男は1847年9月5日にバプテスト派の牧師の末っ子として生まれた。先祖はタバコ農園などを経営し奴隷を使役していたような裕福な家だったが、ジェシーの父親の頃にはそうでもなく牧師でありながらカリファルニア金鉱へ行き客死している。母とその再婚相手に養育されたジェシーは16歳の時に南北戦争の南軍ゲリラ(カントリル)に入って殺人・強盗を覚えた。同じく南軍に入っていた兄のフランク・ジェームズ(サム・シェパード)や従兄弟たちと列車強盗や銀行強盗をするようになる。(ちなみにジェシーらが1886年2月13日に世界初の銀行強盗をしたが、この日は銀行強盗の日に制定されているという)実物のジェシーはブラッド・ピッドより繊細な感じの優男である。なぜ仲間に裏切られて暗殺されたのかという経緯が語られる。1881年9月5日の銀行強盗が失敗に終わってからのジェシーが疑心暗鬼にかられており仲間を殺害したことや、ジェシーには10000万ドルの懸賞金がかかっていたことなどが挙げられるが、映画はロバート・フォードが少年時代からジェシーに憧れていたことや、ジェシーに自分を重ね合わせていたことなどが語られる。ブラッド・ピッドの映画で素晴らしい作品というものは少ないが、この作品も大抵の人にはつまらないものであろう。
陰日向に咲く(20点)
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もっとマシな話かと思っていたのだが、劇団ひとりの原作がこの映画どおりなら実にくだらない内容である。幻冬舎という出版社は割りにいい本を出版すると思っていたのだが、ガッカリした。お坊ちゃん育ちの人が書いたような内容である。女性に対する甘い幻想を持っている人間であることは一目瞭然だ。作家というものはもっとテーマを深く掘り下げて書くものだ。昨今は軽い読み物が流行るのだから出版社も信念を曲げるのだろう。4つくらいの話が微妙に重なるのだが、スッキリした終わり方ではない。どのエピソードも現実味に欠けるし感動を呼び起こすものではないのだ。陰日向に咲くというタイトルの意味さえ見出せない。こういった意味の履き違えを出版社は許すのか?アキバ系おたく、ゆうすけ(塚本高史)と売れないアイドル、みゃーこ(平山あや)の話もモーゼというホームレス(西田敏行)とそれに憧れる会社員(三浦友和)の話もパチンコ依存症になり400万円の借金をこしらえている健一(岡田准一)がオレオレ詐欺を働こうとする電話口の老女の話もストリップ劇場の前座で漫才をしていた鳴子とその娘寿子(宮崎あおいの二役)の話など、どれも安易なつくりであり鈴のついたお守りや桃缶などのアイテムも生かされてはいない。監督は「白夜行」や「そのときは彼によろしく」の平川雄一郎である。あまり出来の悪い映画を見ていると、脳の活性化どころか鈍化状態を招きそうである。
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