パッチ・アダムス(85点)

パッチ・アダムス (ユニバーサル・セレクション第6弾) 【初回生産限定】パッチ・アダムス (ユニバーサル・セレクション第6弾) 【初回生産限定】
(2007/12/13)
ロビン・ウィリアムス.モニカ・ポッター.フィリップ・セイモア・ホフマン.ボブ・ガントン.ダニエル・ロンドン.ピーター・コヨーテ.ジョセフ・ソマー.アーマ・P・ホール

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1943年生まれのハンター・アダムス(ロビン・ウィリアムス)は1969年に自殺未遂をして精神病院に入院したが、ジョークで患者たちを癒すことを知る。富豪だが天才病のアーサーがそんなアダムスを見て<パッチ>(絆創膏)というあだ名をつける。自分が何をすべきかを知ったアダムスは自ら退院し2年後にバージニア大学医学部に入学する。同級生のトルーマン(ダニエル・ロンドン)と病院に潜入して見つかり学部長のウォルコット(ボブ・ガントン)に放校処分にされるところを学長に直談判して免れるのだった。その後も懲りずに小児病棟に潜入、小児ガンにかかっている子供たちの前で浣腸用の赤いゴムボールを鼻につけてピエロの真似をする。そしてパッチ・アダムスは笑いが痛みを緩和することを知るのだった。アダムスは同級生のカリン(モニカ・ポッター)に気があるのだが、カリンは男子学生には心を開こうとはせず冷淡だった。ルームメイトのミッチ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は大して勉強もせず出歩いてばかりいるアダムスの成績がいいので腹立ち紛れに学部長に讒言する。その頃アダムスは死期の近い老人にもう一度したいことを聞く。老人は「もう一度サファリがしたい!」と言うのだった。アダムスはトルーマンや無理矢理連れてきたカリンらと風船で動物を作って、玩具の銃で老人にサファリをさせてやる。楽しげな老人に隣の老女が「私はヌードルのプールで泳ぐのが子供の頃からの夢なの!」と言う。305号室の末期ガン患者に手を焼いていた看護婦たちに代わって看護をするアダムスに患者が心を開く様子を見て看護婦長のジョレッタらは、アダムスの行動を見て見ぬフリをしていたのだが、アダムスは現場を見るにつけ現在医療の行き詰まりを感じる。アダムスの夢は無料病院を建設することだった。精神病院での入院仲間だった富豪のアーサーに出資してもらい、バージニア州ポカホンタスに小さな医院「ゲズントハイト・インスティテュート」(お大事に!という意味)を建設する。そんな頃、一人の精神病患者の男にカリンが殺害されてしまい、アダムスは何もかもが嫌になり無料病院の夢も空しくなり辞めると言い出すのだった。だが同級生らに引き止められて、再度立ち上がるアダムスだった。ハンター・アダムスは2003年にも来日したが、この人の過去がこれほどに過酷だとは思えないほど穏やかな紳士に見えた。パッチ・アダムスの運動は世界規模で広がり、日本でもピエロの扮装をして病院回りをする若者が増えている。

時雨の記(70点)

時雨の記時雨の記
(2005/01/21)
吉永小百合

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中里恒子の名作を吉永小百合が映画化を熱望して澤井信一郎監督が映画化した。京都に時雨亭というのは3箇所あり、本作は常寂光寺裏の時雨亭跡を指している。藤原定家が「名月記」を執筆したと言われる時雨亭は時代を下って、常寂光寺・二尊院・厭離庵と3箇所がここが時雨亭であると主張したのだ。この作品は不倫を扱っていながら二人の間には肉体関係は一切ない。(渡辺淳一氏などは紫式部は性愛を知らない冷感症だと言っているくらいだから、こういったシュチエーションはありえないと言いそうだが)昭和建設の専務、壬生孝之助(渡哲也)はホテルのパーティ会場で20年ぶりに堀川多江(吉永小百合)に再会する。20年前、壬生は会長の葬式で多江を見かけており彼女の清楚な姿を忘れられずにいた。友人に聞くと夫を亡くして今は鎌倉の家で活け花教室をして細々と暮らしているという。壬生は半ば強引に多江を食事に誘ったり、彼女の家に足しげく通ったりするのだった。最初は迷惑そうだった多江もまた壬生の豪放磊落な性質に惹かれてゆくのだった。56歳の壬生と48歳の多江にとってはそれで十分だったのである。多江は道具一つとっても新しいものは買わず、古いもので代用してしまう。男手のない家はあちこち傷んでおり壬生が修理してやると喜ぶのだった。際限なく物を買いそれでも満足しない妻佳子(佐藤友美)とは全く違う多江のことがますます愛おしく思える壬生だった。秋の佳日、二人は京都へゆき定家ゆかりの時雨亭跡を散策する。そして奈良へ回り飛鳥丘陵から吉野の山々が望める場所に来た二人。ここに庵を立てて二人で住もうと壬生は約束する。ところが壬生はまもなく心臓発作で入院してしまう。多江は早速、見舞いにかけつけるのだが本妻の佳子の姿を見てしまうのだった。現実を見てしまった多江は活け花の師匠から勧められていた京都行きを承諾する。年号が昭和から平成に変わり壬生はスペイン出張から帰国する。ある決意を持って妻に別れを切り出す壬生だった。「余生は自分の心のままに生きたい!」と。そして壬生は多江に一緒に京都で住もうと言う。そして思い出の時雨亭で落ち合う約束をするのだが、多江が駆けつけるとそこには倒れて苦しげな壬生の姿があった。・・・・・ラストは一抹の幸福を遺して話は収束する。作者は女性であるから、どちらの女にも身が立つように終わるのだ。(心中などされたら後に残されたものは一生の傷になるだろう)私はこの2人の役者に関しては直撃世代ではないので、そういい俳優にも思えないのだが(団塊世代の方ごめんなさい)高校時代に読んだ中里恒子が忘れられないのである。映画では佳子が多江のところへやってきて壬生が持ってきた香炉を庭にぶちなげる場面があるが、小説にはそんな過激ないやらしい場面はない。中里氏らしく上品に筆を進めているのだ。

英国式庭園殺人事件(75点)

英国式庭園殺人事件英国式庭園殺人事件
(2007/02/24)
アンソニー・ヒギンズ

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ピーター・グリナーウェイ監督の別の才能が見れる映画。この作品の中に出てくる絵画は全て監督自身によるものである。(美術学校出身)音楽はマイケル・ナイマン。17世紀中頃、英国南部ウィルトシャーの郷紳(ジェントリー)であるハーバート氏の邸宅に呼ばれた画家ネヴァル(アンソニー・ヒギンズ)は氏の妻ヴァージニアからハーバート氏が大切に手入れをしている庭園の絵を氏が戻る前に12枚描いてくれと依頼される。絵は一枚につき8ポンド、夜の伽は夫人が提供するというのだった。悪くない条件にネヴァルは引き受けるのだが、翌日になって夫人が指定した第一の場所にカンヴァスを立てるネヴァルは風景の中に異様なものを見つける。それは留守のはずの氏のシャツであったりマントであったり、時には引き裂かれた上着だったりする。景色の調和を破るそれらの不穏なものに多少苛つくネヴァルだったが、豪華な食事と夫人の甘美な夜の饗応は魅力的すぎるのだった。屋敷には夫人の娘サラと夫のタルマンも同居していたが、ある日サラはネヴァルに「母は単純な女ではありません!」と謎のような言葉をささやき自分も夜の相手をしたいのだが・・・と言う。夫人の熟した魅力もいいが娘の若い肉体も貪ってみたいと思うネヴァルに断る理由はなかった。夫人が指定した風景にはやはり不思議なものが紛れ込んでいた。寝室の窓にかけられたハシゴや銅像に思える男が動き出したり謎は深まるばかり。だがネヴァルは約束の絵をかき上げる。ある日、ハーバート氏の死体が庭で発見される。公証人のノイズ氏はサラの不義の証拠が絵の中に隠されていると言いタルマンにたかく売りつけるのだった。その金でハーバート氏の記念碑を建てるといい、再びネヴァルを呼び寄せて下絵を描かせるのだった。ネヴァルには夫人は囁く。「種を残すのに役立ってくれたわ。」と・・・・。数日後、目をつぶされて殺害されているネヴァルの遺体が転がっている。この映画は真相を語らない。この経緯をどうとるかは観客にゆだねると監督が言ったかどうかは知らない。

天使のくれた時間(80点)

天使のくれた時間 (角川文庫)天使のくれた時間 (角川文庫)
(2001/03)
デヴィッド ダイアモンドデヴィッド ワイスマン

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もし人生の分岐点に戻れるとしたら、あなたは何年前に戻りたいですか?2000年のブレッド・ラトナー監督の心あたたまる映画である。音楽はダニー・エルフマン。ジャック・キャンベル(ニコラス・ケイジ)の場合は13年前が分岐点だった。ジャックはウォール街で成功を収めて大手金融会社の社長の座に君臨していた。マンハッタンの超高級マンションに住み、乗っている車はフェラーリだ。まさに順風満帆!男なら誰もが夢見る生活だったが、当のジャックは多忙で孤独、なぜこんなことになったのか?とたまに思わないでもない。13年前、恋人のケイト(レイノルズ・ティア・レオーニ)が行かないで欲しいというのを振り切ってロンドンに旅立った。「たとえ100年離れていても僕らは変わらない。」と言い残したまま13年が経ってしまった。もう手遅れだとジャックは思う。クリスマス前夜、今日も多忙だったジャックは夜半、デリカッテセンに寄り道したのだが一人の黒人男性が宝くじの当たり券を手に銃を振り回している。200ドルの当たり券が引き換えてもらえずキレたらしい。ジャックは200ドルでその券を買い取ってやろうと申し出た。するとその男キャッシュ(ドン・チードル)は「これから起きる事は、あんたが招いたことだ。」と不思議なことを言って立ち去った。翌朝、ジャックは子供の声で目を覚ます。ベッドの横にはあろうことかケイトが眠っているのだった。夢かと思うまもなく二人の子供たちを保育園に送るようにケイトに指図される。表に出るとジャックのフェラーリは跡形もなくファミリーワゴン車が停車していた。とりあえず息子のヴェガのおしめを換えて言われたとおりに保育園に子供を送り届けた帰りにマンションに寄ってみるがドアマンに門前払いを食わされる。会社へも行ってみるが社長プレートには別人の名前がのっていた。仕方なく自宅に戻り、隣人と話してみるとケイトはボランティア弁護士をしており自分はケイトの父エドが経営するタイヤ店でセールスをしているらしいのだった。店に出かけてみると店員たちはスポーツの話題ばかり、定時に帰宅すると犬を散歩につれて出るのがジャックの役目だった。余りにも以前とか違う人生!だがジャックはその暮らしが生き生きしたものに思えるのだった。ある日、自分のフェラーリを見かけるが車内にはキャッシュが乗っており「自分で答えを出すんだ!」という。ジャックはどちらの生活を選択するのか?こんなことが可能ならやってみたい。

嗤う伊右衛門〈60点)

嗤う伊右衛門 (角川文庫)嗤う伊右衛門 (角川文庫)
(2001/11)
京極 夏彦

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京極夏彦の傑作を演出家の蜷川幸雄が映画化。大切な役柄の小雪や池内博之が大根役者なので、顔をしかめたくなる箇所は多々あるが、まあまあの出来である。冒頭の岩(小雪)が醜い顔であるにも関わらず、堂々と人ごみの中を歩き振り返る場面などはよく出来ている。蚊帳の中に座する伊右衛門(唐沢寿明)に直助(池内博之)が一人語る場面なども原作は見所となる場面なのだが、直助の言葉がよくわからず魅力が半減している。悪役の喜兵衛(椎名拮平)もまた異常性ばかりが目立ち奇矯な人間となっているし、岩にいたっては伊右衛門に「いやじゃ!いやじゃ!」となじるシーンがあるのだが、ほとんど子供の駄々っ子である。(子役のほうがうまいかも)従来の伊右衛門は悪役であるが京極版は、心は死んでいるが善人の役であり唐沢寿明はよく似合ってはいるが、原作のイメージとは違う。(台詞もちゃんと言えてるし悪くはない)御行乞食の又市(香川照之)に関しては言うことはない!演技がうまいからねえ!この話は岩と伊右衛門の二人以外は全員、悪人なのだ。顔は醜いが正しい心の持ち主、岩によって(悲劇ではあるのだが)浄化されるという物語なのだ。脚本は筒井ともみであるので、しっかりしたシナリオとなっている。音楽は宇崎竜童なのでどうかと思うが・・・。原作を読まれることを強くお勧めする。暇があればDVDも・・・ということで。浪人の境野伊右衛門は、又市の口ききで民谷家の入り婿となる。伊右衛門にとって民谷の娘、岩の美醜などどうでもよい事であった。初夜を迎えた朝、伊右衛門は岩の顔半分の崩れをまともに見てしまい「すまぬ!」と詫びてしまう。それが岩には小癪でならない。だが伊右衛門は岩のまっすぐな心根に惹かれてゆくのだった。岩もまた美醜で自分を見たりしない伊右衛門に心を寄せてゆく。だが、筆頭与力の伊東喜兵衛は二人の仲むつまじいのを忌々しく思っていたのだ。顔に痣が出来る前の美しい岩に執心だった喜兵衛は、嫉妬と猜疑心の塊のような男だった。それで伊右衛門を妾宅に呼んで、妊娠した愛人のお梅をあてがおうとする。お梅は残忍な喜兵衛より優しい伊右衛門に思いを寄せるのだが。一方、岩もまた喜兵衛に呼び出されて、伊右衛門の子供をお梅が身ごもったと教えられるのだった。岩は伊右衛門の幸福を思い民谷の家を出て、市井の暮らしに身を落とすのだった。岩は夫の幸福だけを願っていたのだが、真相を知らされるときがやってくる。二人の運命はどうなるのか?
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