
冒頭、暗い夜道を歩く一人の美女、風双葉(山本富士子)である。彼女を尾行する一人のスラリとした美女、石ノ下市子(岸恵子)、示し合わせたように続々とその後をつける7人の女たち。市子は双葉に「あいつが死んだなんて嘘ね!あんたとあいつが仕組んだお芝居なんでしょ?」と問い詰める。女たちを遠くから眺める一人の女、三輪子(宮城まり子)はどうも幽霊らしい。場面が変わり、市子の部屋にテレビプロデューサーの風松吉(船越英二)がいる。市子は「女優をやめたい!」と風に言うが彼は取り合わない。そそくさと部屋を出て行くのだった。クローゼットの中からでてくる2人の女、五夜子(岸田今日子)と三輪子である。「風が他の女といるときどう言うのか聞いて、勉強になりましたわ!」という五夜子。2人は風がこの部屋に5時間いる間、隠れていたのだ。風にはレストラン経営をしている妻、双葉の他に9人の愛人がいた。女優の市子、台本印刷所<アート社>の未亡人三輪子、TV制作部の五夜子、そして生コマ嬢の四村塩(中村玉緒が初々しい)、虫子(宇野良子)、七重(村井千恵子)、八代(有明マスミ)、櫛子(紺野ユカ)、十糸子(倉田マユミ)である。彼女らは互いの存在を知り、一堂に集まる。だが風はノラリクラリしたものであった。女たちは互いに「風がぽっくり死ねばいい!」「風を誰か殺してくれないか?」などと話し合う。それを聞いた妻は風と共謀して風が死んだことにするのだが、それもバレてしまう。(だが三輪子だけは狂言とは知らずに悲観して自殺してしまう)風を浜辺に連れてきて殺そうということになるのだが・・・・。女たちは一つの結論に達するのだった。すなわち市子に風を預けて、それぞれが養育費をワリカンで払うというものだった。それを聞いた風は狼狽する。
「子供なんか関係無い、君は全然分かってない。俺は仕事がしたいんだよ!」
「死んだ私の両親はね、一人娘の私を飾り立てて、人に見せびらかすより他は何にもしてくれなかった。両親はそういう風にしか私を愛してくれなかった。だから私は女優になろうなんて一度も思った事無かったのに、いつの間にか女優になってたって訳なの。 あなただって同じ事なんじゃないの?今までやってたテレビの仕事、あなたにとって命より大切なんてもんじゃないでしょ。ただなんとなく、毎日やってたんでしょ。あなた、何故生きて、何故働いて、自分の人生の目的が何かなんて考えて見たことあるの。」
「男がね、男として働き場所も取り上げられてしまっていても、子供を生めばそういう事が出来るとあんた思うの?もしそんな男がいたらそいつは怠け者ですよ。不良だよ。僕はそんな人間じゃない。このままここにじっとしてるんじゃ、俺死んだも同じなんだ。」
「そういうことなのね。人間っていつでもこうなのね。同じ日本語で喋っていても貴方にはちっとも私の言うことは分からないし、あたしにはあなたが何故そう悲しむのかおかしく思えるだけだわ」
市子と風の会話である。市子が皆と別れてスポーツカーを走らせる。炎上したバスのそばを通り過ぎる市子の車。なんとも象徴的な終わり方である。ヌーヴェルバーグのよう!